2014.09.06更新

心嚢水という言葉は聞き慣れないと思いますが、心臓と心臓を包む膜との間にある水を心嚢水といいます。

心嚢水が生理的な範囲を超えて増量すると心臓を圧迫するようになります。この圧迫が心臓の一部を押しつぶし心臓の血液の取り込みを邪魔するような状態を心タンポナーデといいます。

心タンポナーデになると心臓から拍出される血液の量が減りますので循環不全により舌の色が真っ青になるチアノーゼを呈したり、動けなくなったり、虚脱したりします。

心嚢水が溜まる原因は様々ですが、たいていは腫瘍が原因になっていることが多い。腫瘍以外では特発性と言って原因が分からないものも多くみられます。特発性の場合は内科的管理で改善することもあります。

腫瘍性の場合には腫瘍がなんであるかによって予後がだいぶ変わってきます。血管肉腫などの非常に悪性度の高い腫瘍ではおのずと予後は悪くなります。ケモデクトーマと呼ばれている大動脈体腫瘍などは進行がゆっくりなことが多く心嚢水をうまく管理していけば数ヶ月から数年いい状態で生活できることもあります。他に中皮腫という悪性腫瘍もあります。中皮腫に関しても心嚢膜切除や抗がん剤などでうまく管理できればやはり数ヶ月から2年くらいは予後が期待できます。ただし腫瘍が胸腔内全体や腹腔内にも播種している場合には予後は短くなります。



今回ご紹介する例は中皮腫のわんちゃんです。咳がひどく、元気が無いということで他院にてレントゲン検査を受け心肥大と腎不全があると診断されました。当院には今後の治療方針を相談しに来院されました。当院でのレントゲン検査でも心肥大が確認されました。エコー検査で心嚢水貯留とそれによる心タンポナーデを確認しました。心タンポナーデは緊急疾患であるためすぐに心嚢水を抜きました。それにより腎臓への血流量も増え、腎臓の数値も3日後には正常範囲に下がりました。
しかし4・5日するとまた心嚢水が貯留し元気がなくなるということが繰り返されました。そこで心嚢水が溜まるのを防ぐためと何が原因なのかを調べるため、心嚢膜部分切除を行いました。

右側の胸壁を肋骨に沿って切開します。


心臓が見えています。心嚢膜が充血し心嚢水の貯留により拡張しています。


心嚢膜を切開したところです。


心嚢膜を半分切除したところです。さらに反対側の半分を切除します。心臓を傷つけないよう慎重な捜査が必要です。


心臓の表面には小さな腫瘤が多数認められました。


心臓を覆っている心嚢膜の約3分の2を切除しました。これで心タンポナーデになるのを防ぐことができます。



術後数日はカテーテルを入れておきます。


手術後1ヶ月経過した時の様子です。傷が痒くて掻いていたため少し色素沈着が認められますが術創は良好に回復しています。

病理検査では中皮腫と診断されました。この時点では胸水の貯留も無く、元気も以前よりも増し力強くなったとのことです。今後は可能であれば抗がん剤での治療を行うことで生存期間の延長が期待できますが、抗がん剤を希望されない場合には経過観察を続けていきます。抗がん剤を行わなくてもながければ6ヶ月は頑張れる可能性があります。

心嚢水が溜まったから、心タンポナーデだからとすぐにあきらめてしまうのではなく、それがどういう病態をとるのかを慎重に判断しそれぞれの疾患に応じた治療が大切です。

西調布犬猫クリニック


投稿者: 制作

2014.08.29更新

猫の下部尿路疾患(FLUTD)のなかで尿道結石はかなりの割合を占めています。尿道結石による尿路閉塞で問題になるのはほとんどがオスです。オスの陰茎とその中を通る尿道は先に行くほど細くなり詰まりやすくなります。小さな石や砂、そして炎症性産物等が詰まるとそこで痛みが発生し、気にしてペロペロ舐めるようになります。尿道口が炎症を繰り返し、その結果として尿道口は完全に閉塞してしまったり、針の先程度の開口部になったりします。こうなってしまった場合には療法食などの内科的管理は不可能です。外科的に尿道を太くするような手術が必要です。その手術法を会陰尿道造瘻術と言います。この手術の方法はたくさんあります。一般的にはウイルソン法という方法が多くなされます。しかし最近では陰茎包皮の粘膜部分を利用した特殊な方法もあります。当院でもこの陰茎の包皮粘膜部分を利用した方法を採用しています。

この3歳の猫さんは2年前から尿石症に対し内科的な管理を行ってきたということです。しかし現在は尿がポタポタとしたたるようにしか出ず、排尿時間も長く、トイレに出たり入ったりを繰り返しているとのことでした。陰茎先の尿道口は肉眼では確認することができず細いカテーテルを挿入しようとしても不可能な状態でした。そこで会陰尿道造瘻術を実施いたしました。

まず皮膚を切開します。

つぎに陰茎の周囲を剥離し、陰茎を引き出します。なるべく尿道の太い部分を尿道の出口として利用するためです。

そして尿道を切開します。かなり根元の部分まで切開すると太いカテーテルでも簡単に挿入できるようになります。

尿道にカテーテルが入っているところです。尿道の中には尿が見えます。
この太い尿道部分に包皮粘膜を縫合します。

包皮粘膜を尿道に縫合した状態です。

最後に皮膚を縫合し、数日間カテーテルを入れておきます。


カテーテルを抜いたあとの状態です。術後1週の写真です

抜糸後の状態です。排尿状態は良好です。


もう一例ご紹介します。この猫さんも同じように尿道の先端が閉塞してしまっています。陰茎の先端が慢性的な炎症により肥厚しています。尿は陰茎の先端から1㎝の場所からにじみ出ているような状態です。


手術前の様子です

陰茎の周囲の組織を剥離しています

陰茎を周囲組織から分離し、陰茎を骨盤腔内から引き出したところです。ここまで十分に陰茎を引き出すことで、太い尿道にアプローチできます


尿道先端から細いカテーテルを挿入しようとしていますが狭窄しているのでまったく入っていきません。


陰茎の途中で尿道を切開しカテーテルを挿入したところです。この部位では細いカテーテルしか入りません


尿道を根元の方に切開し、太い尿道にカテーテルを挿入しています。上の写真と比べるとカテーテルの太さがわかると思います。この太い尿道に包皮を縫合し、手術が終わりです。


手術後の写真です。カテーテルを数日は留置しておきます。


抜糸時の状態です。排尿状態も良好です。



さらにもう1例
この猫さんは腎臓にも膀胱にも結石が存在していましたが、どの結石もサイズ的には2〜3mm程度のものでした。療法食を食べているにもかかわらず結石による尿道閉塞を繰り返してしまうとのことで当院に来院されました。当院を受診した時にはすでに腎臓の機能がかなり悪化していましたので10日間点滴入院で腎臓の数値を下げる治療を行ったあと手術を行いました。10日後の数値も正常値には遠くすでに不可逆的な損傷を負っていると考えられました。通常であれば膀胱切開し膀胱内の結石を除去したのち会陰尿道瘻術を行うのがいいと思われますが、腎機能と結石のサイズを考慮し会陰尿道瘻術のみを行いました。


陰茎の先端から細いカテーテルが尿道内に入っています


尿道が太くなっている部位まで切開し、太いカテーテルを挿入しているところです


手術終了時の写真です。術後の排尿状態は良好で腎臓が悪いながらも元気に暮らしています。

抜糸時の様子です



従来のウイルソン法はとてもよい方法ですが尿道粘膜と皮膚を縫合するため、術後に狭窄を起こしてしまうことが問題になることがあります。しかし包皮粘膜を利用する方法は尿道粘膜と包皮粘膜を縫合しますので狭窄が起こりにくいという利点があります。さらに見た目も手術前とさほど変わりませんので飼い主様にとっても受け入れやすい方法だと思います。しかし欠点としては手術の難易度が上がりますので手術時間が余計にかかります。どの方法を選択するかは猫さんそれぞれの状態に合わせて考えていくというのが現実です。

最近では療法食などの内科的管理によって良好に経過することがほとんどです。ゆえに外科的な対処が必要となることが減ってきていると思います。しかし陰茎を舐め壊したりすることで尿道の開口部が狭くなることで排尿時間が長くなっていたり、常に膀胱内に蓄尿がある場合には外科的な対処を早い段階で行わないと腎臓に負担がかかることがあります。排尿がうまくできていないと感じたら外科的な対処を考えたほうがいいかもしれません。動物病院での診察を受けましょう。

投稿者: 制作

2014.08.16更新

こんにちはhappy01up


もう8月も半ばを過ぎようとしていますが
皆様いかがお過ごしでしょうかcatdogshine
夏のレジャーなど楽しまれましたかhappy01sign02



このお盆休みには、
たくさんのワンコさんheart01ニャンコさん達がペットホテルに来てくれましたsmilenotes



今回お泊まりが初めてだという、
同じお家のワンコちゃん達ですlovelyupup


みんな、とーっても元気で仲良しhappy02goodshine
たくさん遊びましたupnotesnotes



個性がいろいろでとってもお茶目catfaceheart04



それぞれ好きな所でリラックス〜catfaceshine



初めてのお泊まりとは思えないくらい
みんなお利口さんでしたhappy01bellshine



またみんなでお泊まり来てねぇ〜happy02heart02heart02
また遊ぼうねっhappy01heart04




投稿者: 制作

2014.07.14更新

「うちのこまだ1歳なのに腫瘍ができた」ということで慌てて来院されることがたまにあります。
そういった若いワンちゃんの皮膚に赤くてドーム状にできるしこりは皮膚組織球腫という腫瘍であることが多いですね。
皮膚組織球腫とは皮膚の中にあるランゲルハンス細胞という細胞が由来の腫瘍です。急激に増大し表面は潰瘍化し脱毛することがあります。
 ある程度時間が経つと自然に退縮してしまうこともありますが、どんどん大きくなってしまうものもあります。急速に大きくなっていくものや自然退縮しないものは外科的に切除することを考慮します。

この写真の例は組織球種が急速増大し4センチ大になってしまった例です。表面はくずれ、潰瘍化しています。こういった場合には手術にて切除が望まれます。


基本的に良性腫瘍ですのでマージンは最小限で切除します





皮膚組織球種に関しては良性腫瘍ですので、切除してしまえばあとは特に問題ありません。
しかし組織球種が皮膚に多発する皮膚組織球症や内蔵など全身に多発する全身性組織球症という病気もありますので注意が必要です。さらに組織球系の悪性腫瘍は予後がかなり悪いものがありますので要注意です。


西調布犬猫クリニック

投稿者: 制作

2014.07.11更新

以前、軟部組織肉腫の例をお見せしましたが、他にも何例かお見せしようと思います。

1例目は他院にて手術した後、6ヶ月後に再発してきた例です。軟部組織肉腫の特徴は転移性は低いのですが、局所浸潤性が強く、手術後の再発が多い腫瘍です。
しかし、再発をなるべく起こさないように1回目の手術で最大限可能な限り取り除くことが重要です。

前肢のこの位置にある腫瘍は非常に厄介です。理由は皮膚が足りないからです。体幹部や上腕、太もも辺りでは皮膚が豊富にあり皮弁を使うことで切除部位を覆うことはできるのですが、肘より下や膝より下は皮弁法が困難で腫瘍の切除後の再建に苦労することが多々あります。
写真は、まん中の線は前回の手術痕でその上に腫瘤があります。

腫瘍の底部は必ず筋膜(筋肉を覆っている膜)をバリアとして切除します。このとき皮下の脂肪層の部位で切除すると腫瘍を取り残してしまう可能性が高くなります

縫合時に皮膚が寄りませんので、皮膚にスリット状に穴を開けて縫合します。

手術後1ヶ月の状態です。毛は少ないですが見た目にもそんなに目立たなくなります。まあ見た目よりも腫瘍を取り切ることが最大の目的ですので致し方ないところです。


次は体幹部の軟部組織肉腫の例です。胸部の皮下に直径6センチ大の腫瘍が存在していました。

腫瘍底部の筋膜を慎重に剥離していき切除します。底部への浸潤が強ければ筋肉ごと切除することもあります。


手術後1ヶ月の状態です。体幹部であれば皮弁法により再建します。


次の例は右の脇の下に存在する軟部組織肉腫の例です。指でつまんでいるところに腫瘍が存在しています。組織生検した後1糸縫合しています。


腫瘍は底部の筋肉と強く固着していました。腫瘍の周囲を丁寧に剥離していきます


筋肉にはり付いています


必要であれば、筋肉ごと切除します。筋肉を切開しているところです


腫瘍周囲の正常な組織で可能な限り包み込んだ状態で切除します。決して腫瘍本体が見える状態にはしません。見えた時点でそれはつまり十分なマージンをとった切除ができていないということです。




電気メスの先で示しているのがリンパ節です。リンパ節も同時に切除し転移の有無を調べます。


切除後の写真です。出血がないかを確認し、あれば止血します。


皮下織を縫合し閉創します。




軟部組織肉腫はその浸潤性により手術後の局所再発が起こりやすいとされています。しかし最大限再発を起こさないように1回目の手術で取り切ることが重要です。もし腫瘍だけをくりぬくように切除し再発した場合には、1回目の手術よりも浸潤度は増しており、取り切るには前肢・後肢に存在した場合は断脚を考慮したり、体幹部の場合はより深層の筋肉を広範囲に切除しなければなりません。つまり言いたいことは1回目の手術で腫瘍をすべて取り切るということを一番に考え、見た目が痛々しく見えるかもしれませんが、なるべく多くの腫瘍周辺の正常組織で腫瘍を覆いながら切除するということです。小さな傷で手術するということは見た目はいいかもしれませんが後々大変なことになるかもしれないということを考慮しておくことが大切ですね。

西調布犬猫クリニック

投稿者: 制作

2014.07.10更新

今回は当院での痛みの管理についてお話ししますsign01

 わたくし、高校時代はラグビー部に所属しておりまして、試合の最中にあちこちスパイクで踏まれたり、頭打ったり、どこかしらを切ったりと怪我ばかりしておりました。でも試合中はアドレナリンがバンバンでているのであまり痛みを感じないんですよねcoldsweats01 そうかと思えば帰って寝ようとしても痛みで寝れないなんてことも多々ありました。

 最近では少ないですが獣医になったばかりの時はあちこち噛まれたり、引っ掻かれたりで医者のお世話になることもありました。年を取ると痛みに弱くなるのか、病院で深く噛まれた傷を綿棒でグリグリ消毒されると痛さのあまり先生にもうちょっとやさしくお願いしますと泣きついたりするようになりました。

 まあ私のことは置いといてと・・・動物の医療において、痛みについてまじめに考えられ始めたのは20年ぐらい前からだそうで、それまでは「動物は痛みを感じにくい」とか、「痛みに強い」とか「どれだけ痛みを感じているのか科学的に測ることができないので動物の痛みについて議論するのは無意味だ」等の理由で無視されてきたそうです。

 でも実際は外敵から身を守るために弱みを見せない(痛みを隠す)という習性があり、我慢しているだけなのです。

 我慢できるなら我慢させとけばいいじゃんと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、痛みが続くとからだによくないことがたくさんあるんです。

1、まず痛みに対する不安感は痛みを増強させますsign01
2、肺活量が減ったり、肺が膨らみにくくなって呼吸によるガス交換がうまくできなくなりますsign01
3、交感神経が緊張してドキドキしたり、血圧が上がったりして心臓への負荷が増えますsign01
4、体内のステロイドの分泌が増え、これもまた心拍数up、血圧upで心臓が・・・wobbly
5、タンパク質分解が増加、体内異化が亢進して痩せていったり、傷の治りが悪かったりしますsign01
6、血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなり、その血栓が細い血管に詰まりやすくなりますsign01
7、食欲低下、元気もなく、動かなくなると回復は遅れ、感染症を起こしやすくなりますsign01

こんなにたくさん悪いことが起こるんです。ほんとかよと思われる方はもし手術を受ける機会がありましたら、お医者さんに痛み止めなしでお願いしますと言ってみてください・・・冗談はさておき、痛みなんか気合いで乗り切れって野戦病院じゃないんだから手術したあとくらいはゆっくり寝かせて欲しいですよねappleワンちゃんネコちゃんだって同じです。痛みはしっかりとってあげなきゃダメなんですthink


 制御されない痛みは健康を害し、疼痛が重度であれば死を招くことさえあります。例えば戦争中は拷問による痛みで亡くなってしまったり、精神を病んだりした方が多くいらっしゃったのですweep
 現在は痛みを緩和しないまま動物たちを生活させてしまうことは、私たち人間が犯す可能性のある最も残酷な行為のひとつとして認識されてきています・・・。しかし正直まだまだその認識は薄いと言わざるを得ませんweep獣医さんのなかでも「その手術にそんな鎮痛薬使う必要あるの?」とか、「痛みとったら動いちゃうから痛み止めなんか使わないよ」、「使う薬は少ない方がいい」、「麻酔で寝てるんだから痛くないよ」なんて声もあったり、鎮痛薬は使っているけど、その鎮痛薬がやっている手術に対し効果が足りないものだったりなんてことも見受けられますpenguin

 私自身、痛みに弱いということもあり当院での疼痛管理に関しては厳密に妥協無く行っておりますclover。疼痛管理は手間が格段に増えます。消耗品も増えます。それでも痛みに耐え忍んでいるワンちゃんネコちゃんはみたくありませんsign03。手術を成功させるには適切な疼痛管理が非常に大事なのです。よく「歯石とるのに麻酔かけたら死んじゃった」なんてことを聞きますが、本来、麻酔の合併症で亡くなる確率は0.1%です。適切に行えば、麻酔で死んじゃうなんてことはそんなに起こるはずが無いのです・・・。麻酔の前に麻酔がかけられる体力があるのかどうかを評価し、バランス麻酔(鎮静、鎮痛、 筋弛緩の3要素が適切に達成されるように、鎮静薬,鎮痛薬,筋弛緩薬を用いて バランスよく調整する方法)とマルチモーダル鎮痛(作用機序の異なる鎮痛薬を併用し相加・相乗的な鎮痛効果を得る方法)の概念に基づいた麻酔計画を立て実行すれば麻酔よって亡くなるということは最小限にできるはずなんですcherry
 
当院で使用している鎮痛薬の仲間達ですshine私にとっては本当に頼もしい存在ですfuji
このお薬達を駆使して痛みを最小限に抑える努力をしています。

「面倒くさいことを面倒くさがらずにやるsign03」こういうことを当たり前にできる獣医が良い獣医だと思いますbud

投稿者: 制作

2014.07.10更新

犬の小腸にできる腫瘍と言うと主なもので腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫などがあります。症状としては嘔吐、下痢、食欲不振などがみられます。
 小腸の腫瘍において、手術時に転移があるかないかで生存期間が大きくことなります。転移があった場合の生存期間は短くなります。小腸の中で発生部位として空腸が一番多く(小腸の中で空腸が断トツ長いので)、次に十二指腸、回腸となります。

今回の例は十二指腸にできた癌の例です。小腸の中で十二指腸の手術が一番厄介です。理由は十二指腸には胆嚢からつながる総胆管が接続していたり、膵臓からつながる膵管が接続していたり、触れると炎症を起こしやすい膵臓自体と隣り合っていたり、深い位置を走行していたりと考えるだけで頭が痛くなります。両手の指で持っているのが十二指腸で真ん中の部位が癌に侵されています。


腫瘍部分をガーゼで覆いながら、血管を止血し、分離していきます。ピンセットのしたに見えるのが膵臓です。膵臓を乱暴に扱うと術後に膵炎を起こしますので丁寧に行います。


腸間膜を分離したあとに切除する部位を腸鉗子で鉗圧します。総胆管や膵管の十二指腸への開口部を傷つけないように切除範囲を決めます。


腫瘍部位を切除したところです。空腸や回腸に比べ十二指腸の腫瘍はマージンを確保するのが難しい場所です。


腸管同士を縫い合わせているところです。


縫合を終えたところです


その後、転移が無いかどうかを調べるために近くのリンパ節を取ります。そして他の臓器に転移を疑う所見が無いかどうかを調べ、無ければ閉腹します。

切除した部位です。腸の内側から漿膜(腸の一番外側の膜)面にも腫瘍が浸潤してきているのがわかります。


内腔面をみると腫瘍部分が潰瘍を起こしています。粘膜が肥厚しているのもわかります。


病理検査では腺癌とのことでした。リンパ節への転移はみとめられませんでした。しかし漿膜を超えて外方に腫瘍がせり出しているとのことで腹腔内播種の可能性があったためその後、抗がん剤による治療を行いました。今現在は手術前より太り、元気に駆け回っています。

小腸の腺癌は転移がなければ、比較的長い生存期間が得られることが期待できます。ゆえに早期に発見し、早期に治療することが非常に重要です。




西調布犬猫クリニック

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2014.07.07更新

目の角膜を覆っている涙が蒸発しにくくなるように(要は、目が乾きにくくなるよう)に眼の表面に対し油を分泌する分泌腺が瞼にあります。マイボーム腺といいます。マイボーム腺腫とはそれが腫瘍化したものです。小さな時は特に悪さはしませんが、大きくなると角膜を傷つけたり、表面が自壊し、出血や感染を起こします。人でも眼にゴミが入るとゴロゴロしてとても不愉快ですよね。マイボーム腺腫が角膜を擦るようになるとかなり不快感を感じるようになり床にこすりつけることがあります。


この13歳のワンちゃんは眼瞼の腫瘤が1年前から徐々に大きくなってきました。高齢という理由でこれまで治療はされていませんでした。当院に来院されたときにはしょっちゅう表面が自壊し出血を繰り返しているということでした。

確かに高齢ではありますが、血が眼の中に入りそれを気にして擦ったり、目やにが多かったりと生活の質が落ちていました。このままではいずれ角膜表面にびらんや潰瘍を起こす可能性ありますので手術にて切除することにしました。

上眼瞼と下眼瞼にひとつづつ大きなマイボーム腺腫がみられます。これは麻酔がすでにかかっているところです。眼のまわりは毛を刈っております。


下から見たところです


瞼を開いたところです。かなり深くまで腫瘍が入り込んでいます。


取り残すと再発する可能性がありますので、慎重に切開します。


切除したところです。


瞼の内側の粘膜を溶ける糸で縫い合わせます。


皮膚を縫合します。このとき瞼の端がズレないように丁寧に縫い合わせます。


同様に下眼瞼の腫瘤を切除します。手術部位周囲が赤くなっているのは局所麻酔を注入した際の内出血です。


切除した腫瘤です


手術後6ヶ月の外観です。向かって右側が手術をした方です。上眼瞼の腫瘤がかなり大きかったためやや反対側に比べ目が小さく見えます。




現在は、眼を気にすることは無く、快適に生活しているとのことです。飼い主様も大変満足されていました。



眼瞼の腫瘍は良性のマイボーム腺腫ばかりではありませんので注意が必要です。
このワンちゃんは眼瞼炎として治療したが反応が悪く組織生検を行ったところ肥満細胞腫グレード3という非常に悪性度の高い腫瘍であった例です。眼球摘出や骨を含め広範囲に切除しました。










眼瞼のマイボーム腺腫は小さければ、問題になることはありません。しかし大きくなると非常に厄介な腫瘍です。ある程度大きくなる場合には治療を考えた方がいいでしょう。また良性のマイボーム腺腫ではなく、他の悪性腫瘍の可能性もありますので注意が必要です。安易に経過を見ずに動物病院で診察を受けましょう。
 

西調布犬猫クリニック

投稿者: 制作

2014.06.29更新


こんにちはdog

なかなか梅雨が明けずジメジメしますね〜rain
調布では先日ひょうが降ったりしておかしな天気ですtyphoonwobbly



先日トムくんとチョコくんがトリミングに来てくれましたnotes



トムくんは今回ライオンカットにしましたshineleo







体がスッキリしました〜shineshine
これで夏も涼しくなりますねsign01happy01
ライオンのように凛々しくなった気がしますshineleoshine







トムくん『ガォーーー!!』
かっこいい〜lovely



チョコくんはこれから暑くなるのでボディを短くしましたshine





シャンプー中spa
とっても気持ち良さそうcatface






チョコちゃんも短く涼しげになりました〜sign01smileshine







チョコくん『スッキリしたー!!』shine
可愛くなりましたね!happy02


2人ともお利口さんでしたhappy02notesheart02


トムくんチョコちゃんありがとうclover
また来てね〜happy01



投稿者: 制作

2014.06.13更新


こんにちは!
先日、チワワのパルルちゃんがトリミングに来てくれましたhappy01note


なんと!今日がカットするのが初めてということでしたが・・・






初めてとは思えないほど、
と〜っても大人しくカットさせてくれましたshineshine






そしてパルルちゃんすごいんですsign03
カメラを向けると必ずカメラ目線を向けてくれるんですcamerahappy02notes





横から撮っても
完璧にレンズをとらえてますねsign01camerashine






最後にベストショットheart04ribbonshine
可愛い〜lovely


また来てねhappy01note

投稿者: 制作

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