2015.03.07更新

こんにちはhappy01sign03
久々の更新になってしまい申し訳ありませんshockcryingsweat01

さてさてcatup
季節も変わり、だんだんと春らしい陽気になってきましたねclovershine
皆さん花粉対策は大丈夫ですかeyesign02
こんな時期のお散歩は花粉との戦いですねpunchbearingsign03


当院では先日、半日のお預かりでジャックちゃんが来てくれましたhappy01notes


ジャックちゃんは何度か半日ホテルに来ているので、お留守番がとても上手ですhappy02shine


ナデナデされるのが大好きでいつもピタっと近くに来てくれますcatfaceheart04


こんなに近くまでsmileheart02

ナデナデ好きなジャックちゃんheartまた遊びにきてね〜っnoteshappy01notes







投稿者: 制作

2015.03.05更新

犬の会陰ヘルニアは中高齢の未去勢雄によく見られます。直腸のまわりにある筋肉群が萎縮してしまい、筋肉の間からお腹の中の器官や組織がでてきてしまうことにより起こります。見た目としては肛門のすぐ横の部分がボワンと膨らみます。ワンワン吠えたりするとその膨らみがさらに飛び出してくるように膨らみます。会陰ヘルニアになると何が悪いのかといいますと、直腸を支える筋肉が萎縮してしまいますので直腸が蛇行してしまったり、一部分が拡張してしまい、その部分にウンチが入り込んでしまいます。そうすると排便が思うようにできなくなります。さらに排便時に息むようになり、そのことでお腹の中の器官や組織(多くは骨盤腔内の脂肪、前立腺、膀胱、小腸)が萎縮した筋肉間からお尻の脇の皮下に脱出してしまいます。重度の場合には排尿がしづらくなることもあります。ただし一番の問題はやはり排便困難です。食餌療法や内科療法でなんとか便がでるようにし続けることも可能な場合もありますが、基本的には手術による治療が必要です。
 手術の方法は様々な方法があります。開いた筋肉の間を縫い縮める方法が古くから行われていますがこれだけでは再発することが非常に多いため、最近ではポリエチレンメッシュなどの人工材料を使用しヘルニア部分を塞ぐ方法も多く行われています。しかし人工材料に対し、炎症反応を起こしたり、感染症を起こしやすいなどのデメリットもあります。そこで内閉鎖筋や浅殿筋・半腱様筋といった筋肉や睾丸を包んでいる総鞘膜などの生体内組織でヘルニア部位を塞ぐ方法も行われています。さらに前立腺や膀胱、結腸を腹壁に固定することによりヘルニア孔からお腹の器官や組織が脱出しないようにする方法を併用することもあります。

下の写真はお尻のヘルニア部位を手術する前に開腹し、膀胱を手に持ち引っ張っています。そして膀胱、精管、前立腺を腹壁に縫合固定し、さらに結腸も縫合固定します。これによりこういった臓器がヘルニア孔から脱出するのを防ぎます。

精管を縫合固定しているところです。ちなみに会陰ヘルニアを治療する際には去勢手術は必須です。その理由は直腸周囲の筋肉の萎縮が男性ホルモンに影響を受けているからです。ですから去勢手術をしたあとに不要になった精管を腹壁に固定します。

続いて、結腸を縫合固定しているところです。これが終わったら腹壁を閉じて仰向けからうつ伏せに体位を変えます。そしてお尻の横のヘルニア部位を手術します。


お尻の横をたてに切開し、去勢後、不要になった総鞘膜をヘルニア部分に引き込んできます。この総鞘膜と肛門括約筋や肛門挙筋、尾骨筋、浅殿筋、仙結節靭帯、内閉鎖筋などと縫合します。


縫合し終えたところです。総鞘膜は非常に丈夫な膜でしかも血行は保たれていますので強固な固定が可能です。


皮膚の縫合を終えたところです。手術後は数日間しぶりが続きますが、時間の経過とともに排便の状況も改善していきます。



会陰ヘルニアは割と高齢で患うことが多く、その場合飼い主様は手術を躊躇してしまうことがあります。その場合には内科治療を行い、排便困難が見られる場合には指で便をかき出したりする処置が必要なこともあります。しかしこの処置は非常に危険を伴います。なぜなら拡張した直腸は非常に薄く脆くなっており、処置中に穿孔してしまう可能性があります。穿孔した場合には直腸内の細菌が腹腔内に侵入していき、その後は骨盤腔内膿瘍、腹膜炎、敗血症などにより命にかかわる事態になりかねません・・・。
 それゆえ、排便困難が重度の場合には外科的な治療を強くおすすめします。会陰ヘルニアが見られた場合には安易に様子を見ずに動物病院に相談しましょう。

西調布犬猫クリニック

投稿者: 制作

2015.03.05更新









投稿者: 制作

2015.03.05更新




投稿者: 制作

2015.03.05更新


犬の会陰ヘルニアは中高齢の未去勢雄によく見られます。直腸のまわりにある筋肉群が萎縮してしまい、筋肉の間からお腹の中の器官や組織がでてきてしまうことにより起こります。見た目としては肛門のすぐ横の部分がボワンと膨らみます。ワンワン吠えたりするとその膨らみがさらに飛び出してくるように膨らみます。会陰ヘルニアになると何が悪いのかといいますと、直腸を支える筋肉が萎縮してしまいますので直腸が蛇行してしまったり、一部分が拡張してしまい、その部分にウンチが入り込んでしまいます。そうすると排便が思うようにできなくなります。さらに排便時に息むようになり、そのことでお腹の中の器官や組織(多くは骨盤腔内の脂肪、前立腺、膀胱、小腸)が萎縮した筋肉間からお尻の脇の皮下に脱出してしまいます。重度の場合には排尿がしづらくなることもあります。ただし一番の問題はやはり排便困難です。食餌療法や内科療法でなんとか便がでるようにし続けることも可能な場合もありますが、基本的には手術による治療が必要です。
 手術の方法は様々な方法があります。開いた筋肉の間を縫い縮める方法が古くから行われていますがこれだけでは再発することが非常に多いため、最近ではポリエチレンメッシュなどの人工材料を使用しヘルニア部分を塞ぐ方法も多く行われています。しかし人工材料に対し、炎症反応を起こしたり、感染症を起こしやすいなどのデメリットもあります。そこで内閉鎖筋や浅殿筋・半腱様筋といった筋肉や睾丸を包んでいる総鞘膜などの生体内組織でヘルニア部位を塞ぐ方法も行われています。さらに前立腺や膀胱、結腸を腹壁に固定することによりヘルニア孔からお腹の器官や組織が脱出しないようにする方法を併用することもあります。

下の写真はお尻のヘルニア部位を手術する前に開腹し、膀胱を手に持ち引っ張っています。そして膀胱、精管、前立腺を腹壁に縫合固定し、さらに結腸も縫合固定します。これによりこういった臓器がヘルニア孔から脱出するのを防ぎます。


チワワさんの例です。会陰ヘルニアのヘルニア嚢内に膀胱が脱出していたため開腹し膀胱と前立腺さらに直腸を腹壁に固定することにしました。ピンセットでつまんでいるのが精管です。このチワワさんはすでに去勢手術が施されていましたので精管はやや細くなっていました。


直腸を腹壁に固定しているところです。


精管を腹壁に固定しているところです。これにより膀胱や前立腺がヘルニア嚢に脱出するのを防ぐことができます


膀胱、前立腺、直腸の固定したあとに閉腹をした後に体位を変えて肛門脇の会陰ヘルニアを整復します。
筋肉に縫合糸をかけ閉鎖しているところです。


会陰ヘルニアは割と高齢で患うことが多く、その場合飼い主様は手術を躊躇してしまうことがあります。その場合には内科治療を行い、排便困難が見られる場合には指で便をかき出したりする処置が必要なこともあります。しかしこの処置は非常に危険を伴います。なぜなら拡張した直腸は非常に薄く脆くなっており、処置中に穿孔してしまう可能性があります。穿孔した場合には直腸内の細菌が腹腔内に侵入していき、その後は骨盤腔内膿瘍、腹膜炎、敗血症などにより命にかかわる事態になりかねません・・・。
 それゆえ、排便困難が重度の場合には外科的な治療を強くおすすめします。会陰ヘルニアが見られた場合には安易に様子を見ずに動物病院に相談しましょう。

投稿者: 制作

2015.03.05更新


犬の会陰ヘルニアは中高齢の未去勢雄によく見られます。直腸のまわりにある筋肉群が萎縮してしまい、筋肉の間からお腹の中の器官や組織がでてきてしまうことにより起こります。見た目としては肛門のすぐ横の部分がボワンと膨らみます。ワンワン吠えたりするとその膨らみがさらに飛び出してくるように膨らみます。会陰ヘルニアになると何が悪いのかといいますと、直腸を支える筋肉が萎縮してしまいますので直腸が蛇行してしまったり、一部分が拡張してしまい、その部分にウンチが入り込んでしまいます。そうすると排便が思うようにできなくなります。さらに排便時に息むようになり、そのことでお腹の中の器官や組織(多くは骨盤腔内の脂肪、前立腺、膀胱、小腸)が萎縮した筋肉間からお尻の脇の皮下に脱出してしまいます。重度の場合には排尿がしづらくなることもあります。ただし一番の問題はやはり排便困難です。食餌療法や内科療法でなんとか便がでるようにし続けることも可能な場合もありますが、基本的には手術による治療が必要です。
 手術の方法は様々な方法があります。開いた筋肉の間を縫い縮める方法が古くから行われていますがこれだけでは再発することが非常に多いため、最近ではポリエチレンメッシュなどの人工材料を使用しヘルニア部分を塞ぐ方法も多く行われています。しかし人工材料に対し、炎症反応を起こしたり、感染症を起こしやすいなどのデメリットもあります。そこで内閉鎖筋や浅殿筋・半腱様筋といった筋肉や睾丸を包んでいる総鞘膜などの生体内組織でヘルニア部位を塞ぐ方法も行われています。さらに前立腺や膀胱、結腸を腹壁に固定することによりヘルニア孔からお腹の器官や組織が脱出しないようにする方法を併用することもあります。

下の写真はお尻のヘルニア部位を手術する前に開腹し、膀胱を手に持ち引っ張っています。そして膀胱、精管、前立腺を腹壁に縫合固定し、さらに結腸も縫合固定します。これによりこういった臓器がヘルニア孔から脱出するのを防ぎます。


このポメラニアンはかなりの肥満がありました。会陰ヘルニアは両側性で重度であり排便困難が続いていました。肥満は便秘の原因になり、便秘によりさらに肥満を助長します。それらが会陰ヘルニアの一要因にもなります。肥満がある場合には会陰ヘルニアを整復すると同時に痩せるということもとても重要です。


切開すると腹腔内から脱出してきた脂肪組織と血行が悪くなることによりしみ出てきた漿液が貯留していました。


去勢手術後に不要になった鞘膜を用いヘルニア孔を塞いでいます


皮膚を縫合して終了です。右側も同様の手術を行います。



会陰ヘルニアは割と高齢で患うことが多く、その場合飼い主様は手術を躊躇してしまうことがあります。その場合には内科治療を行い、排便困難が見られる場合には指で便をかき出したりする処置が必要なこともあります。しかしこの処置は非常に危険を伴います。なぜなら拡張した直腸は非常に薄く脆くなっており、処置中に穿孔してしまう可能性があります。穿孔した場合には直腸内の細菌が腹腔内に侵入していき、その後は骨盤腔内膿瘍、腹膜炎、敗血症などにより命にかかわる事態になりかねません・・・。
 それゆえ、排便困難が重度の場合には外科的な治療を強くおすすめします。会陰ヘルニアが見られた場合には安易に様子を見ずに動物病院に相談しましょう。

投稿者: 制作

2015.03.05更新


犬の会陰ヘルニアは中高齢の未去勢雄によく見られます。直腸のまわりにある筋肉群が萎縮してしまい、筋肉の間からお腹の中の器官や組織がでてきてしまうことにより起こります。見た目としては肛門のすぐ横の部分がボワンと膨らみます。ワンワン吠えたりするとその膨らみがさらに飛び出してくるように膨らみます。会陰ヘルニアになると何が悪いのかといいますと、直腸を支える筋肉が萎縮してしまいますので直腸が蛇行してしまったり、一部分が拡張してしまい、その部分にウンチが入り込んでしまいます。そうすると排便が思うようにできなくなります。さらに排便時に息むようになり、そのことでお腹の中の器官や組織(多くは骨盤腔内の脂肪、前立腺、膀胱、小腸)が萎縮した筋肉間からお尻の脇の皮下に脱出してしまいます。重度の場合には排尿がしづらくなることもあります。ただし一番の問題はやはり排便困難です。食餌療法や内科療法でなんとか便がでるようにし続けることも可能な場合もありますが、基本的には手術による治療が必要です。
 手術の方法は様々な方法があります。開いた筋肉の間を縫い縮める方法が古くから行われていますがこれだけでは再発することが非常に多いため、最近ではポリエチレンメッシュなどの人工材料を使用しヘルニア部分を塞ぐ方法も多く行われています。しかし人工材料に対し、炎症反応を起こしたり、感染症を起こしやすいなどのデメリットもあります。そこで内閉鎖筋や浅殿筋・半腱様筋といった筋肉や睾丸を包んでいる総鞘膜などの生体内組織でヘルニア部位を塞ぐ方法も行われています。さらに前立腺や膀胱、結腸を腹壁に固定することによりヘルニア孔からお腹の器官や組織が脱出しないようにする方法を併用することもあります。

下の写真はお尻のヘルニア部位を手術する前に開腹し、膀胱を手に持ち引っ張っています。そして膀胱、精管、前立腺を腹壁に縫合固定し、さらに結腸も縫合固定します。これによりこういった臓器がヘルニア孔から脱出するのを防ぎます

この例は後腹膜腔内の重度の出血の原因を精査するため、開腹手術を行いました。主要な臓器を肉眼的に確認しましたが異常はありませんでした。


大きな赤い塊は膀胱に付着している脂肪組織内で出血が起こり血腫になったものです。膀胱自体には異常所見は認められませんでした。このワンちゃんは会陰ヘルニアがありましたのでヘルニア嚢内に膀胱や前立腺が入り込みその際に無理な力がかかり出血した可能性が高いと判断し、膀胱、前立腺を腹壁に固定しました。
もちろん去勢手術も同時に行いました。


そしてお腹を閉腹し、体位を変え会陰ヘルニアの手術も同時に行いました。ヘルニアにより肛門の左側が膨らんでいます。


ヘルニア部を切開していくと中には古くなった血の塊がでてきました。


腹腔内から脱出してきた脂肪組織が高度に癒着しており、それらを慎重に剥離し切除しました。念のため病理検査をしましたが腫瘍性病変は見つかりませんでした。




ヘルニア部位を縫縮し終了です。


その後、手術をうけたワンちゃんは順調に回復し、腹腔内の出血が起こることもありませんでした。現在手術してから3年以上経ちますが元気に過ごしています。

会陰ヘルニアは割と高齢で患うことが多く、その場合飼い主様は手術を躊躇してしまうことがあります。その場合には内科治療を行い、排便困難が見られる場合には指で便をかき出したりする処置が必要なこともあります。しかしこの処置は非常に危険を伴います。なぜなら拡張した直腸は非常に薄く脆くなっており、処置中に穿孔してしまう可能性があります。穿孔した場合には直腸内の細菌が腹腔内に侵入していき、その後は骨盤腔内膿瘍、腹膜炎、敗血症などにより命にかかわる事態になりかねません・・・。
 それゆえ、排便困難が重度の場合には外科的な治療を強くおすすめします。会陰ヘルニアが見られた場合には安易に様子を見ずに動物病院に相談しましょう。

投稿者: 制作

2015.02.23更新

犬の停留精巣です。精巣というか睾丸は正常では陰嚢と言う袋の中に収まります。精子を作る際に涼しい方が都合がいいからです。しかしうまく睾丸が陰嚢まで降りてこない状況を潜在精巣、停留精巣とか停留睾丸といいます。鼠径部にある鼠径管をくぐり抜けたけど陰嚢まで届かなかった場合には皮下組織に停留します。鼠径管さえも超えられなかった場合には腹腔内に停留します。停留睾丸のなにがいけないのかというと将来、精巣腫瘍の発生のリスクが正常犬と比較して9倍となります。ですから睾丸が陰嚢まで降りていない場合には去勢手術を行った方がよいとされています。


体重11キロの柴犬の停留精巣の手術です。片側の精巣がお腹の中に停留しています。指でつまんでいるのは降りてきている方の精巣です。


陰茎の脇を切開します


そしてお腹のなかに隠れている精巣を探します。肉眼で探そうと思うと切開の大きさをかなり大きくしなければなりません。そこで指で精巣を探します。膀胱の背側にある精巣の起点を探しそこから精管を伝って精巣を探り当てます。


取り出した精巣につながる血管や精管を結紮して切除します


切除したところです。結紮した糸はのちに溶けてなくなってしまいます。


お腹を縫って終了です


正常側の精巣も切除します。こちらは陰嚢のやや上をの部位を2㎝ほど切開します



上が停留精巣を手術した術創です。下が通常の去勢手術を行った術創です。皮下陰睾の場合には去勢手術と同じ術創から取り出せることもありますが、通常は鼠径部を切開して行います。

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2015.02.14更新

猫の大腿骨骨折は比較的多くみられます。交通事故や落下などが主な原因です。
この猫さんの骨折の原因ははっきりわかりませんがおそらく高いところから落ちたのではないかということでした。大腿骨の骨幹の膝に近いところが折れています。よく見ると骨折部位に骨のかけらがみえますね。単純に二つに割れたのではないのがわかります。治療法は多種多様な方法があります。強いプレートとネジでがっちりとめる方法や髄内ピン+創外固定、髄内ピン+プレートなどなどほかにもたくさん考えられます。猫さんの性格も手術方法を決定する重要な因子です。今回の場合、創外固定には耐えられないと考え髄内ピン+プレートで整復しました。この方法はプレートのみの方法に比べると骨折部位の操作が少なくて済みますし、プレートも薄くて小さいもので可能なので骨粗鬆症にもなりにくいと考えます。
10日後の抜糸が終わるとエリザベスカラーも必要なくなりますので元気なネコさんにはちょうどいいですね。





手術後のレントゲン写真です。髄内ピンを入れ長さを保った状態で小型のプレートとネジを使い固定しました。この方法だと整復時の筋肉の分離が最小限で済みますし骨折部をやたらと触らなくていいので、骨自体が治ろうとする過程をなるべく邪魔しないようにできます。さらに当院では筋肉を縫い合わせる前に骨折部位に多血小板血漿を注入します。


多血小板血漿(PRP)とは血小板の中に自己治癒能力を高める因子がたくさんあることを利用する方法です。患者さん(この場合は猫さん)から血液を採血し、血小板をたくさん集めてそれを傷害を受けた部位に注入します。これにより治癒を促進させようという方法です。なんといっても自分の血小板なので副作用が無いと言うのがうれしいですね。人の医療では歯医者さんでインプラントを入れる際に土台部分の骨量を増やす目的で使われていたり、皮膚のシワや古傷を目立たなくさせる美容目的でも使われているようです。

このジェル状の血液の中に血小板が多く含まれています


手術後5ヶ月時の状態です。キレイに骨がついていますので髄内ピンを抜去します。


髄内ピンを抜いた後です。残ったプレートは取ってもいいのですが大腿骨の周りは筋肉量が多く骨に到達するのに筋肉間の分離を結構していかなければならないので問題が無ければそのままにしておきます。この程度の小さなプレートであれば骨粗鬆症になることはないと考えます。

投稿者: 制作

2015.02.14更新

犬の肝臓の原発腫瘍のなかで一番多いのが肝細胞癌です。肝臓に大きなシコリが1つあるいは2つみられる場合にはまず肝細胞癌を考えなければなりません。他の肝臓に発生する腫瘍(胆管癌、血管肉腫、リンパ腫、転移性腫瘍など)でシコリが1つで5センチを超える大きさになることはまれです。言い換えれば肝細胞癌以外の悪性度の高い腫瘍は1つが5センチを超えて大きくなる前に3つ4つ・・・と数が増えていくと言うことです。さらにリンパ節や他の臓器にも転移がみられることもあります。
 それでは1つで5センチ超えたら全部が肝細胞癌かというとそうではなく、肝細胞腫、結節性過形成などの良性病変、さらにはただの血腫なんてこともあります。これらを手術する前に確実に区別する方法は確立されておりません。超音波造影剤を使った検査や造影CTなどで区別する方法が研究されており近い将来で手術前に確定できる日が来るかもしれませんが今のところは手術で切除してみないとはっきりはわからないということです。
 では肝細胞種や結節性過形成などは放っておいてもいいのかというと難しいところです。それが5センチを超えてさらに増大していくと破裂し出血を起こす可能性が出てきます。さらに他の臓器を圧迫し嘔吐や下痢、食欲不振などの臨床症状を呈していくことがあります。こういったことを考えるとあまり大きくなるようなら肝細胞腫であろうが結節性過形成であろうが手術を積極的に考えたほうがいいと考えます。
 ただし肝臓はご存知のように脆いです。しかも大きな血管がたくさん入り込んでおり、一歩間違えば大出血を起こし最悪の事態になることもあります。手術の際には慎重な操作が必要であり、さらに不測の事態に対し備えが必要です。もちろん経験や技術も必要になります。


ご紹介するワンちゃんは半年前に3センチ大のシコリが肝臓の内側右葉にみつかり、その後一ヶ月ごとの健診をしておりました。その後シコリは徐々に増大し5センチ大になりましたので肝細胞癌を疑い手術にて切除しました。

写真は開腹したところですが、腫瘍が横隔膜に癒着していました。


肝臓の内側右葉の基部に腫瘍がみえます。写真の指先で示しています。その下に見える白いものは胆嚢です。胆嚢は腫瘍に接していたので同時に切除しました。胆嚢を切除してしまっても日常生活に影響はほとんどありません。


肝臓の基部、つまり根元の深い部分に腫瘍が存在しておりましたので視野を広げるために一部胸骨を切開し、さらに横隔膜も切開しています。


内側右葉に流れ込む血管など(門脈、肝動脈、肝管)をはじめに結紮し、次に内側右葉から流れ出る静脈系を結紮していきます。写真は後大静脈と副中間静脈との分岐部を分離し結紮糸を通しているところです。


次に、中肝静脈を後大静脈との分岐部で分離します。細心の注意を払い血管を丁寧に分離していきます。この部位での作業で大出血を起こす可能性がありますので神経を研ぎすまして行います。写真は中肝静脈の分離が終わり剥離鉗子を中肝静脈と後大静脈の間に通したところです。腫瘍が肝臓の基部に迫っていることがわかります。


中肝静脈を結紮した後に肝臓副葉との間を切離し、そして内側右葉を切除しました。


切除した腫瘍です。病理検査の結果は肝細胞癌でした。切除辺縁に腫瘍は認められず、腫瘍は取りきれているという判断でした。腫瘍に切れ目が入っているのはホルマリンが浸透しやすくするためのものです。


ちなみに肝細胞癌が肝臓にあっても特になんの症状も示さないことがあります。それゆえ発見が遅くなり、見つかった時には腫瘍が取り切れないほど大きくなっていたり、主要な血管を巻き込んでしまい完全切除が難しくなってしまっていたりします。定期的に健康診断を受けることが重要です。
 犬の肝細胞癌は手術で切除した場合の生存期間の中央値が1460日以上であったのに対し、手術しなかった場合は生存期間の中央値が270日でしたという報告があります。肝細胞癌が他の臓器に転移することはまれなことです。ゆえに腫瘍をしっかり取りきれれば予後は良好です。肝臓に癌ができたからもうダメだとあきらめるのはとってももったいないことなのです。人間の肝臓がんは肝炎ウイルス感染を背景に肝硬変や肝臓がんに発展し予後も様々ですが、犬の肝細胞癌はしっかりとれれば寿命を全うできる可能性が高いのです。

投稿者: 制作

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