2013.11.22更新

犬・猫の子宮の病気で代表的なものとして子宮蓄膿症があります。ねこちゃんの場合はほとんどが避妊手術を行ってありますので子宮蓄膿症を治療する機会は多くありません。ワンちゃんの場合はまだまだ避妊手術を行っていない場合がありますので中高年のわんちゃんで多く見られます。若齢時に避妊手術をすることで予防できます。さらに2回目の発情がくる前に避妊手術をすることで乳腺腫瘍の予防にもなりますので、交配して子犬を出産させる予定がなければ避妊手術をしておくことをおすすめします。もし子宮蓄膿症になったときの治療は外科的に子宮卵巣を切除します。なかには内科的にお薬で治療する場合もあります。しかし一時的によくなったとしても多くの場合は再発しますので、外科的な治療をおすすめします。手術を先延ばしにすることでどんどん年をとっていきますので最終的に手術を決断した時には高齢のためリスクがさらに増します。


手術時の写真を紹介いたします。

子宮蓄膿症を発症している子宮です。子宮全体が腫れ上がっています。子宮内には大量の膿が溜っています。この子宮内の膿の中の細菌や細菌が作り出す毒素がどんどん血液中に取り込まれ、全身に広がります。敗血症や播腫性血管内凝固、腎不全などいろいろな症状を起こします。


このワンちゃんのお腹は膿だらけでした。子宮が破裂し膿が腹腔内に漏れ出して腹膜炎を起こしていました。

子宮がパンパンに腫れ上がっています。腹膜炎のため腸の表面が真っ赤になっています。


切除した子宮を切開すると膿がでてきました。血色が濃いので少し色を変えています。



このワンちゃんは卵巣に腫瘤がありました。卵巣がんでした。


かなり腫瘍が大きくなっているのがわかります。


これは子宮にできた良性腫瘍です。


 

健康診断で見つかりましたが、症状は特にありませんでした。



このワンちゃんは子宮蓄膿症で膿が腹腔内に漏れ出ていました。膿を採材して細菌培養検査に提出します。


手術後はお腹の中を生理食塩水で何度も洗浄します。これにより腹腔内の細菌の数をできるだけ減らします。


切除した子宮です。


破裂した部位です。この穴から膿が漏れ出ていたと考えます。


これは初期の子宮蓄膿症です。この程度だと術後も合併症はほとんど起こりません。


子宮蓄膿症を罹患するワンちゃん達は高い確率で卵巣にもなんらかの異常が認められます。


子宮を切開したところです。中から血膿がでてきています。


膿の貯留が重度の子宮蓄膿症です。子宮がかなり張っています。


切除した子宮です



これはチワワの子宮にできた腫瘤です。お腹がパンパンに張っていました。


病理検査では良性でしたがこれにより他の臓器が圧迫され食欲減退や元気消失などの症状がありました。
手術後は以前と同じように元気になりました。


子宮を切開し中の腫瘤をみています。



これは子宮水腫の例です。子宮水腫自体は特に症状を示すことは少ないのですが、のちのち子宮蓄膿症に発展する可能性が高いので外科的に切除しておいた方がいいと考えます。



最近、お腹が大きくなってきたということで来院されたプードルの子宮です。体重の3分の1くらいの子宮がでてきました。病理の結果は腺筋症ということでした。





以上、子宮の病気の例を何例かおみせしましたが、やはり予防できる病気ですので若いうちに避妊手術を行っておくことをおすすめします。子宮蓄膿症はとれば治るというものではなく、全身に広がった細菌や菌毒素により重度の炎症反応を起こし多くの合併症を引き起こします。命を落とすこともある病気ですので注意が必要です。
 病気を発見するきっかけとして陰部から膿が出ているのを見つけることがあります(開放型)。しかし閉鎖型の場合は陰部から膿が出ませんので発見が遅れ、子宮破裂をおこすこともあるので避妊していない中高齢のわんちゃん・ねこちゃんが元気がなくなったり、食欲が無くなったり、発熱したりした場合にはすぐに動物病院にて診察を受けましょう。








調布市以外の府中市、三鷹市、武蔵野市、小金井市、狛江市、稲城市からの患者さんも来院されています。子宮卵巣の病気は西調布犬猫クリニックまでご相談ください


夜間救急時間外診療も随時受け付けております。





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