犬の停留精巣です。精巣というか睾丸は正常では陰嚢と言う袋の中に収まります。精子を作る際に涼しい方が都合がいいからです。しかしうまく睾丸が陰嚢まで降りてこない状況を潜在精巣、停留精巣とか停留睾丸といいます。鼠径部にある鼠径管をくぐり抜けたけど陰嚢まで届かなかった場合には皮下組織に停留します。鼠径管さえも超えられなかった場合には腹腔内に停留します。停留睾丸のなにがいけないのかというと将来、精巣腫瘍の発生のリスクが正常犬と比較して9倍となります。ですから睾丸が陰嚢まで降りていない場合には去勢手術を行った方がよいとされています。
体重11キロの柴犬の停留精巣の手術です。片側の精巣がお腹の中に停留しています。指でつまんでいるのは降りてきている方の精巣です。
陰茎の脇を切開します
そしてお腹のなかに隠れている精巣を探します。肉眼で探そうと思うと切開の大きさをかなり大きくしなければなりません。そこで指で精巣を探します。膀胱の背側にある精巣の起点を探しそこから精管を伝って精巣を探り当てます。
取り出した精巣につながる血管や精管を結紮して切除します
切除したところです。結紮した糸はのちに溶けてなくなってしまいます。
お腹を縫って終了です
正常側の精巣も切除します。こちらは陰嚢のやや上をの部位を2㎝ほど切開します
上が停留精巣を手術した術創です。下が通常の去勢手術を行った術創です。皮下陰睾の場合には去勢手術と同じ術創から取り出せることもありますが、通常は鼠径部を切開して行います。
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