2013.10.23更新

このワンちゃんは腹部の打撲でショック状態で来院されました。超音波検査で腹腔内に液体の貯留がみられました。レントゲン検査では胸部や骨に異常は認められませんでした。すぐに状態を安定化させるために治療をおこないました。点滴、鎮痛・鎮静や二次感染予防のための抗生剤投与などを行い、ある程度落ち着いたところで尿道から造影剤を注入しレントゲン撮影を行いました。これにより膀胱が破裂していることがわかりました。今回の打撲とは別ですが、尿管内に結石がみとめられました。

その後、約12〜24時間で状態を安定化させます。繰り返し血液検査を行い、尿毒症にならないように注意します。もし尿毒症や高カリウムになっていくようなら腹腔内にカテーテルを挿入し尿を持続的に排出させます。
 さらに状態が良くなってきたところで腹部の超音波検査を行ったところ、右側の尿管内に詰まっている結石が原因で腎臓内に尿がうっ滯していました(水腎症)。

 次の日、状態がかなりよくなったので膀胱破裂の整復手術をおこないました。さらに尿管結石による水腎症を放っておくと腎機能に悪影響がありますので、そちらも同時に摘出することにしました。

お腹を開くと血液が溢れていました。
 

腹腔内の血液と尿を吸引し、破裂した膀胱を確認。他の臓器に損傷はみられませんでした。 
 

次に尿管の結石の位置を確認し、メスで尿管を切開し結石を取り出します。結石は4㎜大で尿管壁に食い込むように存在していました。
 


尿管内にカテーテルを挿入し生理食塩水で洗い流します。洗い終わったら細い糸を使って尿管を閉鎖します。だいたい2㎜間隔で縫合します。
 

次に破裂した膀胱の処置を行います。壊死した部位を切り取り新鮮創にし、縫合して膀胱を閉鎖します。
 

腹腔内をよく洗浄し、腹壁、皮下織、皮膚を縫合糸閉鎖します。


4日後に退院しました。7日後の検診時には食欲、元気ともに100%で水腎症改善していました。結石分析の結果はシュウ酸カルシウムでした。今後は結石ができないように尿石症用の療法食を継続していく必要があります。







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投稿者: 制作