尿膜管とは胎児のときに膀胱とおへそをつないでいる管で、母親のお腹の中にいる時はここから尿を体外に排泄しています。出産時にこの管は閉じてしまいます。この管が残ってしまうことを尿膜管遺残といいます。管の残り方により様々な症状を起こします。
今回ご紹介する猫ちゃんたちは膀胱炎を繰り返し罹患しており、他院にて繰り返し治療をしたがなかなか治らないとのことで来院されました。通常の細菌性膀胱炎であれば適切な抗生物質の使用で大半はよくなります。しかし繰り返すということは他に何らかの原因があると考えなければいけません。今回の場合は尿膜管性膀胱憩室により細菌が繁殖しやすい膀胱の形態になっており再発を繰り返したものと診断しました。治療は憩室部分を切除します。
膀胱を肉眼で確認すると充血しており、触った感じはとても固く、肥厚していました。
膀胱に糸をかけ支持し、憩室部分を切除します。
膀胱内部は重度の炎症を起こしており粘膜は固く肥厚していました。
憩室を切除した後、縫合し膀胱を閉鎖します。その後腹壁、皮下織皮膚を縫合閉鎖します。
切除した憩室部です憩室があることで膀胱から尿が排泄されにくくなり、特に憩室部分は細菌の温床になります。
これは別の猫ちゃんの尿膜管遺残です。おへそにつながる管がはっきりわかります。
膀胱内部は同じように重度の炎症を起こしており、粘膜は充血して固く肥厚していました。
以上です。膀胱炎を繰り返す場合には一度精査をすることで原因がわかることがあります。慢性膀胱炎と診断された場合にもなぜ慢性になったのか?膀胱結石やポリープ、腫瘍、尿膜管遺残などがないか一度動物病院に相談してみてください。
西調布犬猫クリニック
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