調布市、三鷹市、府中市の皆様、こんにちは
東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。
愛犬の身体にしこりが認められたら、悪い病気にかかっていないか心配になりますよね。とくに怖いのが「がん」とも呼ばれる悪性腫瘍です。ワンちゃんの悪性腫瘍では「悪性リンパ腫」や「肥満細胞腫」などでしこりが生じ、早急な対応が求められます。もちろん、犬の身体のしこりは良性腫瘍の可能性もあるため、見た目で判断せずに動物病院で診てもらうことが大切です。今回はそんな犬の身体にしこりが現れた場合に考えられる病気と原因、対処法をわかりやすく解説します。
▼そもそも「しこり」とは?
「しこり」というのは俗称のようなもので、専門的には「腫瘤(しゅうりゅう)」といいます。皮膚もしくは皮下組織にできる塊を指し、腫瘍だけでなく嚢胞や水疱も含まれます。ですから、腫瘤=腫瘍ではなく、何らかの理由で隆起したり、肥大化したりした組織を腫瘤(=しこり)と呼んでいるのです。犬の身体にはしこりが生じやすく、不安な思いをされたことがある飼い主さんも多いことでしょう。
▼犬の身体のしこりで考えられる病気
犬の身体にしこりができた場合、次に挙げるような良性腫瘍と悪性腫瘍が疑われます。
【良性腫瘍】
◎皮脂腺腫(ひしせんしゅ)
皮脂腺腫とは、黄白色をしたドーム状のしこりで、1cm以上になることは稀です。老齢犬に好発し、患部に脱毛を伴います。その名の通り皮脂を分泌する皮脂腺が異常に増殖して、腫瘍を形成する病気です。皮脂腺腫は良性腫瘍ですが、ごく稀なケースで悪性腫瘍である皮脂上皮腫や皮脂腺癌に移行することがあります。
◎乳頭腫(にゅうとうしゅ)
乳頭腫とは、白色をしたカリフラワー状のしこりで、主にパピローマウイルスへの感染が原因となります。積極的な治療が不要であることも多く、数週間から数ヶ月かけて大きくなっていきます。必要に応じて炭酸ガスレーザー焼烙、外科切除などで対応します。
◎脂肪腫(しぼうしゅ)
脂肪腫とは、皮下組織にできる脂肪の塊です。肌色でやわらかく、数年かけて徐々に大きくなるのが特徴です。急速に大きくなる場合は悪性腫瘍である脂肪肉腫が考えられるため要注意です。脂肪腫であれば、積極的な処置を施さず、経過を見ていくことが多いです。
◎組織球腫(そしききゅうしゅ)
組織球腫とは、皮膚に赤色ドーム状の病変を形成する病気です。患部は無毛となり、場合によっては潰瘍を伴うこともあります。非常に特徴的な症状を呈することから、診断しやすい腫瘍といえます。3歳未満の若齢犬に好発するという点も特殊であるといえます。
◎乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)
乳腺腫瘍とは、高齢の雌犬で好発する病気で、乳腺に腫瘍が形成されます。女性ホルモン依存性の腫瘍であり、若年期に避妊手術することでその発生を抑えることが可能です。良性:悪性の比率はおおよそ50%:50%であり、乳腺にしこりが認められたら切除して病理検査を受けた方が良いといえます。発生当初は小豆くらいのしこりで、それが急速に大きくなる場合は悪性が疑われます。
【悪性腫瘍】
◎肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)
肥満細胞腫とは、文字通り肥満細胞が腫瘍化したもので、悪性腫瘍に分類されます。皮膚に発生した場合はしこりを形成します。「肥満」という名前が付いていますが、太っていることを意味する“肥満”とは関係なく、炎症やアレルギー反応と関係が深い「肥満細胞」が異常に増殖する病気です。そのため、肥満細胞腫になるとヒスタミンが過剰に放出されて周囲に炎症反応が起こります。また、悪性腫瘍であることから、その他の臓器に転移する点にも注意が必要です。肥満細胞腫の見た目は多様で、外観だけで判断するのは難しいといえます。
◎悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)
悪性リンパ腫とは、白血球の1種であるリンパ球が異常に増殖する病気です。免疫を担う細胞が腫瘍化するため、感染症にかかりやすくなります。病気が進行すると、食欲不振や嘔吐、下痢なども見られるようになります。6歳以上の中高齢で発症することが多く、抗がん剤による治療が一般的です。
▼しこりを見つけたときの対処法
愛犬の皮膚にしこりを見つけたら、できるだけ早く動物病院を受診しましょう、犬のしこりの原因は、専門家でなければ正確に診断することができません。上述した悪性腫瘍の可能性も考えられますので、自己判断はせず、獣医さんの意見を聞きましょう。長い期間、大きさがほとんど変わらず、症状も安定しているようであれば良性の可能性も高いですが、獣医さんから正確な診断を受けた方が安心できますよね。
▼まとめ
このように、犬の身体にはいろいろな原因でしこりが生じます。今回ご紹介したもの以外にも皮膚にしこりができる病気はありますので、気になる症状が認められたら西調布犬猫クリニックまでご連絡ください。