院長ブログ

2022.12.30更新

調布市、三鷹市、府中市、他の地域の皆様、こんにちは

東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。

 

 

膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?

膝蓋骨脱臼は犬でよく見られる膝の整形外科疾患の1つで、パテラと呼ばれることもあります。

パテラは本来、膝のお皿である膝蓋骨を意味する言葉ですが、膝蓋骨脱臼のことを簡易的にパテラと呼ぶことが多いです。

膝蓋骨脱臼を発症すると膝のお皿が脱臼して本来の位置からずれてしまい、歩行障害や痛みなどを生じます。
今回は犬の膝蓋骨脱臼で見られる症状や治療法、予防法などについて詳しく解説していきます。

 

膝蓋骨脱臼の症状

犬が膝蓋骨脱臼を発症すると、次のような症状が見られるようになります。
・足をひきずる
・足を挙げる
・足を触ると痛がる
・歩きたがらない
これらの症状が見られる場合、膝蓋骨脱臼を発症している可能性があります。はやめに動物病院を受診するようにしましょう。

 

膝蓋骨脱臼の重症度分類

膝蓋骨脱臼はその重症度により、4段階のグレードに分類されます。各グレードの基準は以下のとおりです。

グレード1
膝蓋骨は本来の位置に収まっていますが、膝蓋骨を手で押すと脱臼させることができます。手を離すと膝蓋骨はもとの位置に戻ります。

症状はほとんど見られないことが多いですが、たまにスキップのような行動をとることがありますが、すぐに戻ります。

 

グレード2
膝蓋骨は普段は本来の位置に収まっています。しかし、足を曲げ伸ばししたり手で押したりすると頻繁に脱臼してしまいます。

足を曲げ伸ばしたり手で押したりすることで元に戻すことができます。後ろ脚を挙げたり、痛がったりする症状がよく見られます。

 

グレード3
膝蓋骨は常に脱臼している状態です。手で押すことで膝蓋骨をもとの位置に戻すことができますが、手を離すとすぐにまた脱臼してしまいます。

腰をかがめたり、内股で歩いたりするなどの症状がみられるようになります。


グレード4
膝蓋骨は常に脱臼していて、手で押しても本来の位置に戻すことはできません。後ろ足を曲げてうずくまるように歩くなどの歩行異常がみられます。

 

膝蓋骨脱臼の診断
膝蓋骨脱臼の診断には触診とレントゲン検査などを行うことが大切です。

・触診
触診では膝蓋骨の脱臼の方向や程度、ぐらつきなどを確認します。大型犬では外側に、小型犬では内側に膝蓋骨が脱臼することが多いです。

・レントゲン検査
レントゲン検査では画像により膝蓋骨の脱臼の様子を確認します。膝蓋骨脱臼の合併症として前十字靭帯の断裂が生じてしまうことがあります。

レントゲン検査では大腿骨と脛骨の位置関係を確認し、前十字靭帯の断裂の可能性がないかも確認します。

 

膝蓋骨脱臼の治療

膝蓋骨脱臼の治療には保存療法と外科療法があります。

・保存療法
グレードが1-2で症状が軽い場合には保存療法がすすめられることが多いです。消炎鎮痛剤の投与を行いつつ、安静にしてもらいます。肥満の場合はダイエットすることも大切です。

・外科療法
グレード2で症状が重い場合やグレード3-4の場合は外科療法がすすめられます。外科療法では手術により膝蓋骨が外れないようにします。

手術法としては滑車溝形成術や脛骨粗面転移術などが挙げられます。術後はしばらく入院が必要になります。

 

膝蓋骨脱臼の予防

膝蓋骨脱臼の予防には体重管理と後ろ足に負担をかけないことが大切です。

・体重管理
肥満になると、足腰への負担が大きくなり、膝蓋骨が外れやすくなってしまいます。肥満の犬に無理な運動をさせるとそれだけでも膝蓋骨脱臼の原因になってしまうため注意が必要です。

基本的には食事管理により適切な体重を保つように心がけましょう。

 

・後ろ足への負担の軽減
ソファやベッドに飛び乗ったり、滑りやすい床の上を走り回ったりすると膝蓋骨が脱臼する原因になります。ソファなどに飛び乗ってしまう場合は段差を作ってあげる、

床が滑りやすい場合にはカーペットを敷くなどして少しでも膝の負担を軽減してあげるといいでしょう。

 

当院では、犬の膝蓋骨脱臼の治療に力を入れております。

ご家族の症状にご不安等ございましたら、お気軽にご相談ください。

 

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投稿者: 西調布犬猫クリニック