犬の膀胱炎|症状と原因、治療法を獣医師が解説
調布市、三鷹市、府中市、他の地域の皆様、こんにちは
東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。
犬の膀胱炎とは?
膀胱炎とは文字通り膀胱に炎症が起こった状態を指します。膀胱炎になると頻尿や血尿などのさまざまな症状を示すようになります。
今回は犬でよく見られる病気の1つである膀胱炎について、症状や原因、治療法などについて詳しく解説していきます。
犬の膀胱炎の症状
犬が膀胱炎になると、次のような症状を示すようになります。
・血尿
・頻尿
・尿が臭い
・おしっこをするときに痛がる
これらのような症状が見られる場合は、膀胱炎を発症している可能性があります。早めに動物病院を受診し、検査や治療の相談をするようにしましょう。
犬の膀胱炎の原因
犬の膀胱炎の原因のほとんどは細菌感染です。膀胱炎の犬の尿から検出される細菌としては大腸菌をはじめとした腸内細菌がほとんどです。
これらの細菌が尿道から侵入し、膀胱に到達して増殖すると膀胱炎の発症につながります。通常は尿道や膀胱に細菌が侵入しても免疫により排除されたり、
尿により洗い流されたりすることで発症しないことがほとんどです。しかし、高齢や体調不良などにより免疫が低下している場合や水分の摂取量が不足して尿量が減少している場合などには膀胱炎が発症してしまうことがあります。
犬の膀胱炎の診断
犬の膀胱炎の診断には尿検査や細菌培養検査、レントゲン検査、エコー検査などが必要です。
・尿検査
尿検査では炎症の反応や潜血の有無などを確認します。また、顕微鏡で尿を観察することで尿結石を検出し、その形態から種類を特定することもできます。
尿検査をするにはある程度の量の尿が必要になるため、膀胱炎のような症状を示していて動物病院を受診する際には尿を持参するといいでしょう。
持参する尿はできるだけ当日中の新鮮なものが望ましいです。可能であれば冷蔵庫で保存しておくといいでしょう。
・細菌培養検査
尿を採取して細菌培養を行うことで膀胱炎を引き起こしている細菌の種類や有効な抗菌薬の種類を調べます。検査に利用する尿はできるだけ無菌的に採取したものであることが望ましいため、
お腹に針を刺して膀胱から直接尿を採取するようにします。多少の痛みは伴いますが、おとなしい犬であれば麻酔をかけずに採取することも可能です。
・レントゲン検査
膀胱結石や腫瘍の有無を確認します。膀胱結石や膀胱腫瘍でも膀胱炎のような症状を起こすことがあるため、これらを除外するために必要な検査です。
ある程度の大きさがあればレントゲンで確認することができます。
・エコー検査
エコー検査では膀胱結石や腫瘍の有無、膀胱粘膜の腫れなどを確認します。レントゲンに写らない小さい腫瘍や細かい結石も検出できることがあります。比較的簡易的に行うことのできる検査です。
犬の膀胱炎の治療
抗菌薬による治療が一般的です。最初は範囲の広い抗菌薬を使用し、細菌培養検査の結果に合わせて使用する抗菌薬を変更することもあります。
処方された抗菌薬は最後まで飲み切ることが重要です。途中で服用をやめてしまうと、耐性菌の出現により治療を難しくなってしまうことがあります。
膀胱炎を無治療で放置すると、細菌感染が腎臓にまで広がり腎盂腎炎を発症してしまうことがあります。
腎盂腎炎を発症すると膀胱炎の症状に加えて発熱や元気消失を示すことや、急性腎不全や敗血症にまで発展してしまうこともあるため注意が必要です。
膀胱炎のような症状が見られたら放置せずに早めに動物病院を受診するようにしましょう。
犬の膀胱炎の予防
残念ながら確立された膀胱炎の予防法はありません。そのため、膀胱炎を早期発見・早期治療することが大切です。
膀胱炎を疑うような症状が見られた場合には早めに動物病院を受診し、処方された薬は最後まで飲み切るようにしましょう。