院長ブログ

2022.12.30更新

調布市、三鷹市、府中市、他の地域の皆様、こんにちは

東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。

 

今回は、犬の膿皮症について、症状や治療法などを詳しく解説していきたいと思います。

 

膿皮症とは?

膿皮症とは皮膚に細菌感染が起き、それにより皮膚炎が生じる病気のことを指します。犬で最もよくみられる皮膚病の1つです。

膿皮症を発症すると皮膚にさまざまな症状をきたし、悪化するとなかなか治りにくくなってしまうこともあります。

 

膿皮症の症状


膿皮症を発症すると次のような症状を示すようになります。
・皮膚に赤いブツブツがみられる
・皮膚が赤い
・皮膚をかゆがる
・脱毛
・皮膚から膿が出る
これらの皮膚症状が見られる場合には膿皮症をはじめてした皮膚病を発症している可能性があります。

早めに動物病院を受診し、獣医師に検査や治療の相談をするようにしましょう。

 

 

膿皮症の原因

細菌感染が原因で発症します。原因となる細菌のほとんどはブドウ球菌です。そのほかにも、大腸菌や緑膿菌などの細菌が関与することもあります。

健康な犬の皮膚であればこれらの細菌が皮膚に接触しても膿皮症を発症することはほとんどありませんが、

アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、クッシング症候群などの基礎疾患により皮膚のバリア機能が弱っている場合や皮膚に傷がついていたりふやけていたり、

汚れていたりする場合は注意が必要です。細菌が皮膚に侵入して増殖することで膿皮症を発症してしまうことがあります。

 

膿皮症の分類


犬の膿皮症は表在性膿皮症と深在性膿皮症に大きく分類されます。


表在性膿皮症
細菌感染により皮膚の表面が炎症を起こしている状態です。カサブタができたり赤いブツブツが見られるようになったりします。膿皮症のほとんどはこちらに分類されます。

深在性膿皮症
表在性膿皮症の悪化などにより細菌感染が皮膚の下にある真皮や皮下組織にまで及んでしまうと発症します。皮膚に重度の炎症が起き、強い痒みや痛みなどの原因になります。

 

膿皮症の診断


膿皮症を診断するためには皮膚の細胞診が大切です。細胞診は皮膚の組織を一部採取して顕微鏡で観察する方法です。

スライドガラスを炎症がある部位に押し当てたり、セロテープでペタペタしたりすることで組織を採取し観察します。

膿皮症の場合は好中球と呼ばれる細菌感染でよくみられる細胞や、細菌が観察されることがあります。

 

膿皮症の治療


膿皮症の治療では、皮膚の消毒や抗菌薬の投与、薬用シャンプー、基礎疾患の治療などを行います。


・皮膚の消毒
皮膚症状のある部位を消毒薬で洗い、殺菌します。クロルヘキシジンという消毒薬を使う方法が一般的です。

 

・抗菌薬の投与

抗菌薬を投与することで原因となっている細菌を殺します。はじめはセフェム系という種類の抗菌薬を使用することが多いですが、治りが悪い場合は細菌培養検査を行い、

耐性菌の有無や有効な抗菌薬の種類を確認することがあります。

 

・薬用シャンプー
アトピーや食物アレルギーなどにより膿皮症を何度も繰り返し発症している場合は定期的な薬用シャンプーがすすめられることがあります。

症状がひどい時には週2回、症状が落ち着いて来たら週1回程度に減らして実施することが多いです。

薬用シャンプーの種類はいろいろあり、皮膚の症状によっても使用するものは異なるため、獣医師に相談してみるといいでしょう。

 

・基礎疾患の治療
食物アレルギーやクッシング症候群などが原因になっている場合はそれらの治療を行います。食物アレルギーでは食事療法、クッシング症候群では内服薬の投与が必要になることが多いです。

 

膿皮症の予防

定期的なブラッシングやトリミングなどにより皮膚を清潔に保つことが大切です。シャンプー後にはドライヤーでしっかりと乾かすことも重要です。

基礎疾患があればその治療もしっかり行うようにしましょう。

 

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投稿者: 西調布犬猫クリニック