院長ブログ

2022.08.11更新

調布市、三鷹市、府中市の皆様、こんにちは

東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。

 

昨今、肝臓の腫瘍が見つかるワンちゃんが増えてきています。

これは、超音波検査が広く普及したことと、犬の寿命がのびたことが関連しているものと思われます。

そんな肝臓の腫瘍は自覚症状に乏しく、健康診断で偶然発見されることが多いです。今回はそんな犬の肝臓の腫瘍についてわかりやすく解説します。

 

▼肝臓は沈黙の臓器

 

肝臓は非常に大きな臓器で、様々な栄養素を合成・貯蔵し、外部から取り込んだ毒素を無毒化するなど、生命活動のかなめとなる臓器といっても過言ではありません。

そのため予備能力・再生能力にも優れており、少し異常が生じた程度では食欲不振、元気消失、痛みなどの症状は見られないことから、沈黙の臓器とも呼ばれています。

それは肝臓に腫瘍ができた場合も例外ではありません。

 

▼犬の肝臓にできる腫瘍の種類

肝臓には、その他の臓器と同様、良性腫瘍と悪性腫瘍が発生します。

肝臓にできる良性腫瘍として「肝細胞腫(かんさいぼうしゅ)」が挙げられ、緩徐に進行するのが特徴です。外科的に切除することで予後は良好となります。

肝臓にできる悪性腫瘍としては多くみられるものに「肝細胞がん」が挙げられます。肝細胞腫と同じく進行は比較的緩徐で、具体的な症状も現れにくいです。

とはいえ悪性腫瘍なので浸潤性を有しており、肝臓全体や多臓器に広がっていく点に注意しなければなりません。ちなみに肝細胞がんは、原発性肝がんの約半数を占めています。

 

▼犬の肝臓がんの症状

上述したように肝臓は沈黙の臓器と呼ばれており、肝臓がんにかかっても初期の段階では症状が見られません。

次に挙げるような症状が認められる場合は、肝臓がんがそれなりに進行していることを意味します。

・元気の消失
・食欲不振
・疲れやすい
・腹水が貯留している
・肝酵素の値が高くなっている

 

▼犬の肝臓がんの原因

犬の肝臓がんの原因のひとつは、発がん性物質です。例として保存料や防腐剤、着色料、タバコの煙などに含まれる発がん物質を習慣的に取り込むことで、肝臓にダメージが及びます。

肝臓はそうした毒素を解毒する作用を担っていますが、許容量を超えると炎症を起こしてがんの発症リスクも上昇します。

私たちヒトの肝臓がんは、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスに由来するウイルス性肝炎が原因となりやすい点で、犬とは大きく異なります。

 

▼犬の肝臓がんの治療法

犬の肝臓がんの治療は、外科的切除が基本となります。がん細胞に侵された部位を完全に切除することで完治が見込めます。

肝臓は再生能力が高く、手術によって大きく切除したとしても、時間をかけて同じくらいの大きさになっていくケースがほとんどです。

転移性の肝臓がンの場合は、外科切除が適用になることは少なくなり、対応が難しくなります。

 

▼手術しないとどうなる?

肝臓がんは、かなりの大きさになっても明確な症状が現れないことが多く、手術の必要性が感じられない飼い主さんもいらっしゃると思います。

愛犬が普段通り、元気に走りまわっているのにどうしていろいろなリスクを伴う外科手術を受けなければならないのか。

そうしたお気持ちはよく理解できるのですが、肝臓がんの病態が進行しているのであれば、できるだけ早期に手術を実施した方が良いといえます。

肝臓がんがある程度大きくなると、胃や後大静脈を圧迫するだけでなく、肝臓の大部分が侵されて肝不全を引き起こすことさえあるのです。

そういった点も踏まえて、ワンちゃんに肝臓がんが見つかった場合は早期治療に努めましょう。明確な症状が現れた頃には手術が不適応となることも珍しくありません。

▼まとめ

今回は、愛犬の肝臓に腫瘍が見つかった場合の対処法や肝臓がんの特徴などを解説しました。

肝臓がんは比較的高齢のワンちゃんに発生しやすい悪性腫瘍ですが、「肝細胞がん」であれば手術によって完治する可能性も十分あります。

そんな犬の肝臓がんは早期発見・早期治療が何より重要となりますので、健康診断を定期的に受けることを強く推奨します。

 

調布市、三鷹市、府中市にお住まいの方はぜひご相談ください。もちろん他の地域からのご相談もお受け致しております。

西調布犬猫クリニック

 

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投稿者: 西調布犬猫クリニック