猫に多い心臓病「肥大型心筋症」ってどんな病気?
こんにちは!西調布犬猫クリニックの佐竹です😊
「呼吸が少し早い気がするけど、年齢のせいかな?」
「なんとなく寝てばかりいるような…」
そんな小さな変化に気づいたことはありませんか?
猫の【肥大型心筋症(Hypertrophic Cardiomyopathy:HCM)】は、猫ちゃんの心臓病の中で最もよく見られる病気のひとつです。
特に高齢猫や大型長毛種に多く、進行すると命に関わることもある怖い病気ですが、早期発見・適切なケアでコントロールすることが可能です。
【肥大型心筋症とは?】
肥大型心筋症は、心臓の左心室の壁(心筋)が分厚くなり、心臓の機能が低下する病気です。心臓のポンプ機能が弱まることで、全身への血液供給が不十分になり、呼吸困難や血栓による麻痺などの症状が現れることがあります。
【原因】
⚫︎遺伝的素因:メインクーン、ラグドール、ペルシャ、スコティッシュフォールドなどの猫種では遺伝との関わりが強く示唆されています。
⚫︎他の病気に続発する場合:高血圧、甲状腺機能亢進症、慢性腎臓病など。
⚫︎加齢に伴う心筋の変性も一因となります。
雑種の猫でも発症する可能性は十分にあるため、品種にかかわらず注意が必要です。
【症状】
肥大型心筋症の恐ろしいところは、初期にはほとんど症状が現れないことが多い点です。
🐾 初期に見られることがあるサイン
・いつもより元気がない
・食欲が落ちる
・少し咳をする
・活動量が減る、寝てばかりいる
🐾 中期〜重症化すると…
・呼吸が浅く速くなる(目安:安静時40回/分以上)
・口を開けて呼吸する(開口呼吸)
・うずくまって動かなくなる
・肺水腫(肺に水が溜まる)
・血栓による突然の後ろ足麻痺(動脈血栓塞栓症)
呼吸が荒くなったり、後ろ足が動かなくなった場合は一刻を争う緊急事態です⚠️
【診断方法】
猫の肥大型心筋症は、見た目だけでは診断できません。
診断には、レントゲン検査、超音波検査などの画像検査がとても重要です。
レントゲン検査では、心臓の大きさや肺の状態を確認します。「バレンタインハート」と呼ばれる特徴的な心臓の形状が見られることがあります。
超音波検査では、心臓の構造や動きをリアルタイムで観察することができ、心臓の壁の厚みや構造、血流、心室・心房の広さなどを細かくチェックします。
しかし、心筋の肥厚は、高血圧症や甲状腺機能亢進症などの病気にも見られるため、血液検査で他の病気がないか調べることもとても重要です。
【治療と日常ケア】
残念ながら、完治は難しい病気ですが、薬によって症状の進行を抑え、生活の質を維持することは可能です。
主な治療法⇩
・β遮断薬:心拍数を抑えて心臓の負担を減らす
・カルシウム拮抗薬:心筋の動きを調整
・抗凝固薬:血栓の形成を防ぐ
・利尿薬:肺水腫がある場合に使用
治療内容は、症状の進行度や猫の体質・性格などに合わせて調整します。
投薬が難しい場合は、投薬用トリーツを使用したり、薬の形状を変えるなど方法があるのでご相談ください💊
【まとめ】
小さな異変が「命を救うサイン」に。
猫の肥大型心筋症は静かに進行する病気です。だからこそ、日々のちょっとした変化に気づくことが非常に大切です。
「最近、ちょっと元気がないかも…」
そんな気づきが、早期発見・早期治療の第一歩になります。少しでも異変を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
🏠 飼い主さんができる5つのこと
1.定期的な健康診断(特に中高齢猫や好発猫種)
2.毎日の呼吸数チェック(安静時40回/分を目安)
3.ストレスの少ない環境づくり
4.適正体重の維持と塩分控えめの食事
5.「おかしい?」と思ったらすぐ相談!
定期的な健康診断もとても重要です。
心臓の異常を早期に発見することで、適切な治療を開始でき、病気の進行を遅らせることができます。
特に好発猫種や中高齢の猫ちゃんは、血液検査と超音波検査を含む定期的な健康診断をおすすめします。