院長ブログ

2022.12.30更新

調布市、三鷹市、府中市、他の地域の皆様、こんにちは

東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。

今回は犬のリンパ腫について解説いたします。

 

リンパ腫とは?

リンパ腫とは、リンパ系の細胞が腫瘍化してしまった状態を指します。リンパ系細胞は白血球の1種であり、T細胞やB細胞、ナチュラルキラー細胞などが含まれます。

犬のリンパ腫は悪性腫瘍全体の7-24%を占めるとても発生頻度の高い腫瘍です。犬のリンパ腫はリンパ節や脾臓に認められることが多いです。

 

リンパ腫の症状

犬がリンパ腫にはさまざまな型があり、それぞれ症状が異なります。最も多い病型は多中心型で、その他には胃腸管型や皮膚型、縦隔型などがあります。

それぞれの病型で見られる症状は下記のとおりです。

 

多中心型リンパ腫
犬ではリンパ腫の70-85%がこれに該当します。多中心型リンパ腫を発症すると、下顎や浅頸、腋窩、鼠径、膝窩などの体表リンパ節が左右対称に腫大するのが特徴的です。

全身状態は問題ないことも多いですが、元気や食欲がなくなってしまうこともあります。

 

胃腸管型リンパ腫
犬のリンパ腫の10%程度が胃腸管型リンパ腫と言われており、多中心型リンパ腫に次いで多い病型になります。小腸や結腸、胃などに腫瘍が発生します。

症状としては嘔吐や下痢、血便、食欲不振、元気消失、体重減少などが考えられます。

 

皮膚型リンパ腫
皮膚型リンパ腫が占める割合は、犬のリンパ腫のうちの5%未満です。発症すると皮膚や粘膜に腫瘤を形成したり、皮膚に炎症や潰瘍、かさぶたなどが見られたりすることがあります。

 

縦隔型リンパ腫
犬ではあまりみられない病型です。縦隔とは左右の肺の間の空間で、心臓や気管、食道、大動脈などがここに存在しています。

胸の中に腫瘤が形成されてしまうことで、呼吸が荒くなってしまったり、呼吸困難に陥ってしまったりすることがあります。

 

その他の病型
まれではありますが、眼や中枢神経、腎臓、筋肉、肝臓などにリンパ腫が発生してしまうことがあります。発生した場所によってさまざまな症状がみられるようになります。

 

リンパ腫の原因
リンパ腫の原因はまだはっきりとはわかっていません。特定の遺伝子の変異が発症に関与している可能性が示唆されています。特定の犬種に多く見られる傾向もあります。

 

リンパ腫の診断
リンパ腫が疑われる場合、血液検査やレントゲン検査、超音波検査、針生検、病理組織検査などを行うことがあります。

 

血液検査
血液検査を行うことで全身の状態を評価します。リンパ腫の犬では貧血や血小板の減少、高カルシウム血症などがみられることが多いです。肝臓や腎臓などの臓器にリンパ腫が発生していれば、それらに関する項目の異常が確認されることもあります。

 

レントゲン検査、エコー検査
レントゲン撮影やエコー検査を行うことで、体表リンパ節や胸の中、お腹の中のリンパ節の腫れがみつかることがあります。

 

針生検
リンパ節が腫大している場合、リンパ節に直接針を刺して細胞を採取し顕微鏡で観察することでリンパ腫の可能性を評価することができます。お腹の中のリンパ節が腫れている場合はエコーや内視鏡を使いながら実施することもあります。

病理組織検査
手術によりリンパ節を摘出し、病理組織検査を行うことでより正確に診断することが可能です。針生検でリンパ腫が疑われる場合に実施されることが多いです。

 

リンパ腫の治療
犬のリンパ腫の治療では化学療法や外科療法、放射線療法などが利用されます。リンパ腫が一箇所にのみ発生している場合には外科療法や放射線療法が行われることもありますが、

基本的には抗がん剤による化学療法が実施されることが多いです。

 

リンパ腫の予防
残念ながら犬のリンパ腫を予防する方法はありません。

そのため犬の体を日頃からよく観察し、早期発見および早期治療をすることがとても大切です。1年に1回程度の健康診断もおすすめです。

 

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犬のメラノーマとは?
メラノーマは犬で発生の多い悪性腫瘍の1種で、悪性黒色腫と呼ばれることもあります。黒っぽい見た目が特徴で、皮膚や手足、口の中の粘膜、爪の付け根などに発生することが多いです。

今回は犬のメラノーマについて、見られる症状や治療法などを詳しく解説していきます。

 

犬のメラノーマの症状
メラノーマが犬の体に発生すると、次のような症状や見た目の変化が生じます。

・皮膚や唇、口の中、爪の付け根などに黒っぽいしこりができる
・しこりの表面が自壊し、出血している
・口が臭い

上記のような症状が見られる場合、メラノーマが形成されている可能性があります。早めに動物病院を受診し、検査や治療の相談をすることをおすすめします。
口の中や爪の付け根に発生したメラノーマは悪性度が高く、リンパ節や肺へ転移していることがよくあります。

リンパ節へ転移している場合はリンパ節の腫れ、肺へ転移している場合は咳や呼吸促迫などの症状が見られることがあります。
また、メラノーマは悪性黒色腫とも呼びますが、必ずしも黒っぽい見た目をしているわけではないため注意が必要です。しこりを見つけた時にはその色に関わらず、動物病院を受診することが大切です。


犬のメラノーマの原因
皮膚などに見られるメラニン細胞が腫瘍化することで発生します。腫瘍化する原因はまだわかっていません。

人間のメラノーマでは、紫外線による影響が示唆されていますが、犬のメラノーマの発生に紫外線が関与するかは不明です。
ミニチュアシュナウザーでは爪の付け根に発生するメラノーマの発症率が高いことがわかっており、遺伝的要因があることが示唆されます。

 

犬のメラノーマの診断
メラノーマの診断のためには針生検や病理組織検査、血液検査、レントゲン検査などが必要です。

・針生検
しこりに細い針を刺して細胞を採取し、採取した細胞を顕微鏡で観察する検査です。メラノーマでは黒いメラニン顆粒を含む細胞が確認されます。

しかし、しこりが小さいなどで十分な量の細胞を採取できなかった場合やメラニン顆粒が確認できないなどにより、診断ができないこともあります。

また、診断の精度は病理組織検査と比べて劣ります。

・病理組織検査
しこり全体もしくは一部を切り取って採取し、それを病理検査会社に送って検査してもらいます。最も確実な検査法ですが、全身麻酔をかけての処置が必要であることが多いため、

麻酔に関連した事故や副作用のリスクがあることに注意が必要です。

・血液検査
多臓器への転移の可能性を考えるために実施します。

・レントゲン検査
肺や多臓器への転移がないかを確認するために実施します。

 

犬のメラノーマの治療
メラノーマの治療には外科療法や化学療法、放射線療法、免疫療法などが考えられます。

外科療法
転移がなく、腫瘍が切り取れるものであれば外科手術を行うことで根治が期待できます。外科療法を実施した場合でも化学療法や放射線療法、免疫療法を併用することがあります。

化学療法
化学療法は抗がん剤を投与する治療法です。腫瘍を小さくしたり、転移を防いだりする効果が期待できます。

・放射線療法
放射線療法は腫瘍に放射線を照射することで腫瘍を小さくする治療法です。特別な設備が必要になるため、実施できる施設は限られます。実施する場合は全身麻酔が必要になります。

・免疫療法
免疫療法は患者から樹状細胞やリンパ球を採取し、体外でメラノーマに対する免疫力を高めた後にまた患者の体内に細胞を戻す治療法です。

 

犬のメラノーマの予防
残念ながらメラノーマの予防は難しいでしょう。そのため早期発見・早期治療が大切です。

日頃から愛犬の体をよく観察し、しこりができたときにすぐ気づけるようにしておきましょう。

 

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犬の子宮蓄膿症とは?


子宮蓄膿症は細菌感染により子宮の内部に膿が溜まってしまう病気です。避妊手術をしていないメスの犬で発症することが多く、特に6歳以上で多いと言われています。

重症化すると最悪の場合亡くなってしまうこともあるため注意が必要な病気です。

今回はそのような怖い病気である犬の子宮蓄膿症について、症状や治療法、予防法などについて詳しく解説していきます。

 

犬の子宮蓄膿症の症状

犬が子宮蓄膿症を発症すると、次のような症状が見られるようになります。
・元気がない
・食欲がない
・ぐったりしている
・水をよく飲み、排尿量が多い
・お腹がいつもよりも張っている
・陰部から膿が出る
・嘔吐する

避妊手術をしていないメスの犬で上記のような症状が見られる場合、子宮蓄膿症を発症している可能性があります。

早めに動物病院を受診し、検査や治療の相談をするようにしましょう。

 

犬の子宮蓄膿症の原因

犬の子宮蓄膿症は細菌感染によって引き起こされます。原因となる細菌のほとんどは大腸菌です。

糞便などに含まれる細菌が陰部から侵入し、子宮に到達して増殖することで子宮蓄膿症の発症に至ります。

子宮蓄膿症の発症にはホルモンバランスも関与しており、子宮蓄膿症の発症は発情後2か月ごろの黄体後期に発症が多いことが知られています。

特に出産経験のない犬や長い期間出産を休止していない犬で多く見られます。

 

犬の子宮蓄膿症の診断
子宮蓄膿症の診断のためには血液検査やレントゲン検査、エコー検査などが必要です。これらの検査を行い、総合的に考えて診断します。

血液検査
血液検査では細菌感染による白血球の上昇や腎臓の数値の上昇が見られます。腎臓の数値の上昇は細菌が放出する毒素により腎臓が障害を受けるためであると考えられています。

レントゲン検査
拡張した子宮を確認します。

エコー検査
子宮に液体が貯留していることを確認します。

 

犬の子宮蓄膿症の治療

子宮蓄膿症の治療には内科療法と外科療法があります。基礎疾患がある場合や高齢の場合などの特別な事情がない限り基本的には外科療法がすすめられます。

外科療法
全身麻酔をかけて手術を行い。子宮と卵巣を摘出します。外科療法を行えば子宮蓄膿症を根本的に治療することができ、再発も予防できます。

しかし、子宮蓄膿症の犬は全身状態が悪くなっていたり、腎臓に障害を受けていたりすることが多いため一般的な避妊手術と比べてリスクも伴います。

手術の前後には入院が必要になる場合が多いです。

内科療法
全身状態が悪いなどの理由で手術ができない場合は内科療法を実施します。基本的には抗菌薬の投与とホルモン剤の投与を行います。

抗菌薬を使用する際には薬剤耐性の有無を調べるために膿を採取して細菌の培養検査を行うことがあります。

ホルモン剤は子宮を収縮させ、膿の排出を促すために投与します。内科療法を行う場合も入院が必要になる場合が多いです。

 

犬の子宮蓄膿症の予防


犬の子宮蓄膿症を予防する最も効果的な方法は避妊手術です。避妊手術を行うことで発症を100%予防することができます。
避妊手術は小型犬であれば生後半年ごろから実施することが可能です。初めての発情が来る前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生を高い確率で予防することができます。

そのため、将来出産させる予定がない場合は、はやめに避妊手術を行うことをおすすめします。
避妊手術は望まない妊娠を防ぐことができるだけでなく、発情ストレスがなくなる、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍をはじめとした生殖器疾患を予防することができるなどのたくさんのメリットがある一方で、

二度と出産できなくなる、太りやすくなるなどのデメリットもあります。獣医師とも相談し、よく考えてから実施するようにしましょう。

 

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犬の膀胱炎とは?

膀胱炎とは文字通り膀胱に炎症が起こった状態を指します。膀胱炎になると頻尿や血尿などのさまざまな症状を示すようになります。

今回は犬でよく見られる病気の1つである膀胱炎について、症状や原因、治療法などについて詳しく解説していきます。

 

犬の膀胱炎の症状

犬が膀胱炎になると、次のような症状を示すようになります。
・血尿
・頻尿
・尿が臭い
・おしっこをするときに痛がる

これらのような症状が見られる場合は、膀胱炎を発症している可能性があります。早めに動物病院を受診し、検査や治療の相談をするようにしましょう。

 

犬の膀胱炎の原因

犬の膀胱炎の原因のほとんどは細菌感染です。膀胱炎の犬の尿から検出される細菌としては大腸菌をはじめとした腸内細菌がほとんどです。

これらの細菌が尿道から侵入し、膀胱に到達して増殖すると膀胱炎の発症につながります。通常は尿道や膀胱に細菌が侵入しても免疫により排除されたり、

尿により洗い流されたりすることで発症しないことがほとんどです。しかし、高齢や体調不良などにより免疫が低下している場合や水分の摂取量が不足して尿量が減少している場合などには膀胱炎が発症してしまうことがあります。

 

犬の膀胱炎の診断

犬の膀胱炎の診断には尿検査や細菌培養検査、レントゲン検査、エコー検査などが必要です。

尿検査
尿検査では炎症の反応や潜血の有無などを確認します。また、顕微鏡で尿を観察することで尿結石を検出し、その形態から種類を特定することもできます。

尿検査をするにはある程度の量の尿が必要になるため、膀胱炎のような症状を示していて動物病院を受診する際には尿を持参するといいでしょう。

持参する尿はできるだけ当日中の新鮮なものが望ましいです。可能であれば冷蔵庫で保存しておくといいでしょう。

細菌培養検査
尿を採取して細菌培養を行うことで膀胱炎を引き起こしている細菌の種類や有効な抗菌薬の種類を調べます。検査に利用する尿はできるだけ無菌的に採取したものであることが望ましいため、

お腹に針を刺して膀胱から直接尿を採取するようにします。多少の痛みは伴いますが、おとなしい犬であれば麻酔をかけずに採取することも可能です。

 

レントゲン検査

膀胱結石や腫瘍の有無を確認します。膀胱結石や膀胱腫瘍でも膀胱炎のような症状を起こすことがあるため、これらを除外するために必要な検査です。

ある程度の大きさがあればレントゲンで確認することができます。

 

エコー検査
エコー検査では膀胱結石や腫瘍の有無、膀胱粘膜の腫れなどを確認します。レントゲンに写らない小さい腫瘍や細かい結石も検出できることがあります。比較的簡易的に行うことのできる検査です。

 

犬の膀胱炎の治療
抗菌薬による治療が一般的です。最初は範囲の広い抗菌薬を使用し、細菌培養検査の結果に合わせて使用する抗菌薬を変更することもあります。

処方された抗菌薬は最後まで飲み切ることが重要です。途中で服用をやめてしまうと、耐性菌の出現により治療を難しくなってしまうことがあります。
膀胱炎を無治療で放置すると、細菌感染が腎臓にまで広がり腎盂腎炎を発症してしまうことがあります。

腎盂腎炎を発症すると膀胱炎の症状に加えて発熱や元気消失を示すことや、急性腎不全や敗血症にまで発展してしまうこともあるため注意が必要です。

膀胱炎のような症状が見られたら放置せずに早めに動物病院を受診するようにしましょう。

 

犬の膀胱炎の予防
残念ながら確立された膀胱炎の予防法はありません。そのため、膀胱炎を早期発見・早期治療することが大切です。

膀胱炎を疑うような症状が見られた場合には早めに動物病院を受診し、処方された薬は最後まで飲み切るようにしましょう。

 

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膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?

膝蓋骨脱臼は犬でよく見られる膝の整形外科疾患の1つで、パテラと呼ばれることもあります。

パテラは本来、膝のお皿である膝蓋骨を意味する言葉ですが、膝蓋骨脱臼のことを簡易的にパテラと呼ぶことが多いです。

膝蓋骨脱臼を発症すると膝のお皿が脱臼して本来の位置からずれてしまい、歩行障害や痛みなどを生じます。
今回は犬の膝蓋骨脱臼で見られる症状や治療法、予防法などについて詳しく解説していきます。

 

膝蓋骨脱臼の症状

犬が膝蓋骨脱臼を発症すると、次のような症状が見られるようになります。
・足をひきずる
・足を挙げる
・足を触ると痛がる
・歩きたがらない
これらの症状が見られる場合、膝蓋骨脱臼を発症している可能性があります。はやめに動物病院を受診するようにしましょう。

 

膝蓋骨脱臼の重症度分類

膝蓋骨脱臼はその重症度により、4段階のグレードに分類されます。各グレードの基準は以下のとおりです。

グレード1
膝蓋骨は本来の位置に収まっていますが、膝蓋骨を手で押すと脱臼させることができます。手を離すと膝蓋骨はもとの位置に戻ります。

症状はほとんど見られないことが多いですが、たまにスキップのような行動をとることがありますが、すぐに戻ります。

 

グレード2
膝蓋骨は普段は本来の位置に収まっています。しかし、足を曲げ伸ばししたり手で押したりすると頻繁に脱臼してしまいます。

足を曲げ伸ばしたり手で押したりすることで元に戻すことができます。後ろ脚を挙げたり、痛がったりする症状がよく見られます。

 

グレード3
膝蓋骨は常に脱臼している状態です。手で押すことで膝蓋骨をもとの位置に戻すことができますが、手を離すとすぐにまた脱臼してしまいます。

腰をかがめたり、内股で歩いたりするなどの症状がみられるようになります。


グレード4
膝蓋骨は常に脱臼していて、手で押しても本来の位置に戻すことはできません。後ろ足を曲げてうずくまるように歩くなどの歩行異常がみられます。

 

膝蓋骨脱臼の診断
膝蓋骨脱臼の診断には触診とレントゲン検査などを行うことが大切です。

・触診
触診では膝蓋骨の脱臼の方向や程度、ぐらつきなどを確認します。大型犬では外側に、小型犬では内側に膝蓋骨が脱臼することが多いです。

・レントゲン検査
レントゲン検査では画像により膝蓋骨の脱臼の様子を確認します。膝蓋骨脱臼の合併症として前十字靭帯の断裂が生じてしまうことがあります。

レントゲン検査では大腿骨と脛骨の位置関係を確認し、前十字靭帯の断裂の可能性がないかも確認します。

 

膝蓋骨脱臼の治療

膝蓋骨脱臼の治療には保存療法と外科療法があります。

・保存療法
グレードが1-2で症状が軽い場合には保存療法がすすめられることが多いです。消炎鎮痛剤の投与を行いつつ、安静にしてもらいます。肥満の場合はダイエットすることも大切です。

・外科療法
グレード2で症状が重い場合やグレード3-4の場合は外科療法がすすめられます。外科療法では手術により膝蓋骨が外れないようにします。

手術法としては滑車溝形成術や脛骨粗面転移術などが挙げられます。術後はしばらく入院が必要になります。

 

膝蓋骨脱臼の予防

膝蓋骨脱臼の予防には体重管理と後ろ足に負担をかけないことが大切です。

・体重管理
肥満になると、足腰への負担が大きくなり、膝蓋骨が外れやすくなってしまいます。肥満の犬に無理な運動をさせるとそれだけでも膝蓋骨脱臼の原因になってしまうため注意が必要です。

基本的には食事管理により適切な体重を保つように心がけましょう。

 

・後ろ足への負担の軽減
ソファやベッドに飛び乗ったり、滑りやすい床の上を走り回ったりすると膝蓋骨が脱臼する原因になります。ソファなどに飛び乗ってしまう場合は段差を作ってあげる、

床が滑りやすい場合にはカーペットを敷くなどして少しでも膝の負担を軽減してあげるといいでしょう。

 

当院では、犬の膝蓋骨脱臼の治療に力を入れております。

ご家族の症状にご不安等ございましたら、お気軽にご相談ください。

 

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2022.12.30更新

調布市、三鷹市、府中市、他の地域の皆様、こんにちは

東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。

 

今回は、犬の膿皮症について、症状や治療法などを詳しく解説していきたいと思います。

 

膿皮症とは?

膿皮症とは皮膚に細菌感染が起き、それにより皮膚炎が生じる病気のことを指します。犬で最もよくみられる皮膚病の1つです。

膿皮症を発症すると皮膚にさまざまな症状をきたし、悪化するとなかなか治りにくくなってしまうこともあります。

 

膿皮症の症状


膿皮症を発症すると次のような症状を示すようになります。
・皮膚に赤いブツブツがみられる
・皮膚が赤い
・皮膚をかゆがる
・脱毛
・皮膚から膿が出る
これらの皮膚症状が見られる場合には膿皮症をはじめてした皮膚病を発症している可能性があります。

早めに動物病院を受診し、獣医師に検査や治療の相談をするようにしましょう。

 

 

膿皮症の原因

細菌感染が原因で発症します。原因となる細菌のほとんどはブドウ球菌です。そのほかにも、大腸菌や緑膿菌などの細菌が関与することもあります。

健康な犬の皮膚であればこれらの細菌が皮膚に接触しても膿皮症を発症することはほとんどありませんが、

アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、クッシング症候群などの基礎疾患により皮膚のバリア機能が弱っている場合や皮膚に傷がついていたりふやけていたり、

汚れていたりする場合は注意が必要です。細菌が皮膚に侵入して増殖することで膿皮症を発症してしまうことがあります。

 

膿皮症の分類


犬の膿皮症は表在性膿皮症と深在性膿皮症に大きく分類されます。


表在性膿皮症
細菌感染により皮膚の表面が炎症を起こしている状態です。カサブタができたり赤いブツブツが見られるようになったりします。膿皮症のほとんどはこちらに分類されます。

深在性膿皮症
表在性膿皮症の悪化などにより細菌感染が皮膚の下にある真皮や皮下組織にまで及んでしまうと発症します。皮膚に重度の炎症が起き、強い痒みや痛みなどの原因になります。

 

膿皮症の診断


膿皮症を診断するためには皮膚の細胞診が大切です。細胞診は皮膚の組織を一部採取して顕微鏡で観察する方法です。

スライドガラスを炎症がある部位に押し当てたり、セロテープでペタペタしたりすることで組織を採取し観察します。

膿皮症の場合は好中球と呼ばれる細菌感染でよくみられる細胞や、細菌が観察されることがあります。

 

膿皮症の治療


膿皮症の治療では、皮膚の消毒や抗菌薬の投与、薬用シャンプー、基礎疾患の治療などを行います。


・皮膚の消毒
皮膚症状のある部位を消毒薬で洗い、殺菌します。クロルヘキシジンという消毒薬を使う方法が一般的です。

 

・抗菌薬の投与

抗菌薬を投与することで原因となっている細菌を殺します。はじめはセフェム系という種類の抗菌薬を使用することが多いですが、治りが悪い場合は細菌培養検査を行い、

耐性菌の有無や有効な抗菌薬の種類を確認することがあります。

 

・薬用シャンプー
アトピーや食物アレルギーなどにより膿皮症を何度も繰り返し発症している場合は定期的な薬用シャンプーがすすめられることがあります。

症状がひどい時には週2回、症状が落ち着いて来たら週1回程度に減らして実施することが多いです。

薬用シャンプーの種類はいろいろあり、皮膚の症状によっても使用するものは異なるため、獣医師に相談してみるといいでしょう。

 

・基礎疾患の治療
食物アレルギーやクッシング症候群などが原因になっている場合はそれらの治療を行います。食物アレルギーでは食事療法、クッシング症候群では内服薬の投与が必要になることが多いです。

 

膿皮症の予防

定期的なブラッシングやトリミングなどにより皮膚を清潔に保つことが大切です。シャンプー後にはドライヤーでしっかりと乾かすことも重要です。

基礎疾患があればその治療もしっかり行うようにしましょう。

 

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投稿者: 西調布犬猫クリニック