院長ブログ

2022.08.11更新

調布市、三鷹市、府中市の皆様、こんにちは

東京都調布市の西調布犬猫クリニックです。

 

愛犬の健康診断の血液検査で、肝臓に関する数値が高く出た場合はとても不安になりますよね。

肝臓は、私たちヒトはもちろんのこと、犬にとっても重要な臓器であり、命にかかわるような病気も少なくありません。

今回はそんな血液検査における肝臓の数値が高い場合に考えられる原因や対処法をわかりやすく解説します。

 

▼そもそも肝臓とは?

肝臓はとても大きな臓器で、以下に挙げるような3つの役割を主に担っており、生命活動を維持する上で欠かすことができません。

 

◎栄養素の合成・貯蔵

ワンちゃんがお口から摂取した食べ物は、腸で吸収されて門脈(もんみゃく)という血管を経由してから肝臓へと運ばれます。

肝臓には2,000種類以上の酵素が存在しており、その都度、体に必要な栄養素を合成・貯蔵していることから、「化学工場」と呼ばれることもあります。

 

◎胆汁の合成・分泌

脂肪の分解・吸収を促進する胆汁は肝臓で合成され、胆のうへと分泌されます。

 

◎有害物質の解毒・分解

肝臓には、食べ物・飲み物に含まれる有害物質を解毒、分解する機能も備わっています。

ヒトでいえばアルコールの分解が最もわかりやすく、皆さんもよくご存知のことかと思います。

タンパク質を分解する過程で生じるアンモニアを無害な尿素に作り変えるのも肝臓の主な働きのひとつです。

 

▼肝臓と関係がある血液検査の項目

肝臓と関係がある血液検査の項目は、主に次の4つです。これらは一般的に「肝酵素」と呼ばれている物質ですが、肝臓以外の臓器・細胞でも認められます。

 

◎GPT(ALT) グルタミン酸ピルビン酸転移酵素

GPTは、主に肝臓の細胞に含まれている酵素です。そのため肝臓の異常を反映しやすい項目といえます。

 

◎GOT(AST) グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ

GOTは、肝細胞や心筋細胞、骨格筋細胞、赤血球などに多く含まれる酵素で、GOTが高値だとこれらの細胞に何らかの異常が疑われます。

 

◎ALPアルカリフォスファターゼ

ALPは、肝臓や腎臓、骨などで作られる酵素で、肝臓へ運ばれてから適切な処理を受け、胆のうへと移動して胆汁中に流れ出ます。

胆石や胆道炎などで胆道が閉塞すると、胆汁の流れが滞り、肝臓の機能を低下させることがあります。

 

◎GGTγ-グルタミルトランスフェラーゼ

GGTは全身に広く分布する酵素で、肝臓に関しては胆管の細胞膜で多く見られます。胆管に異常が生じると血中濃度が高くなりやすいです。

 

▼肝臓の数値が高い時に疑われる病気

 

◎肝臓・胆のうの病気

上記の項目が高値を示した場合、肝炎や肝臓がん、先天性の肝障害、胆泥症、胆のう炎などの病気が疑われます。

 

◎肝臓以外の病気

上述したように、肝臓の状態を反映する検査項目は、肝臓以外の臓器とも関連があるため、その数値が高い場合は次のような病気・異常が背景に存在していることも考えられます。

・高脂血症
・炎症性疾患全般
・クッシング症候群
・歯周病
・糖尿病
・骨の病気 など

 

▼病気ではない可能性もある

血液検査で肝臓の数値が高かったとしても、それは必ずしも病気が原因であるとは限りません。例えば、次に挙げるようなケースでは、ALPの値が高く出やすくなります。

・成長期
・ストレス
・特定の犬種(シベリアンハスキーやスコティッシュテリアなど)

また、何かの治療でステロイドを使用していたりすると、肝酵素の上昇が認められることが多く、血液検査でも異常値を示しやすい点にご注意ください。

 

▼肝臓の数値が高かった場合の対処法

血液検査における肝臓の数値が高かった場合は、動物病院で精密検査を受けることがすすめられます。

そもそも病気ではない可能性もありますので、まずはワンちゃんの身体の状態を正確に把握することが大切です。具体的な病気が見つかった場合は、それぞれ最善といえる方法で治療します。

 

▼まとめ

今回は、血液検査で愛犬の肝臓の数値が高かった場合に考えられる原因と対処法を解説しました。

血液検査はあくまでワンちゃんの身体の状態を大まかに知るためのものであり、正確に診断することはできません。

気になる値がある場合は、専門家である獣医師に相談するのが一番です。

 

調布市、三鷹市、府中市にお住まいの方はぜひご相談ください。もちろん他の地域からのご相談もお受け致しております。

西調布犬猫クリニック

 

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投稿者: 西調布犬猫クリニック