「元気で健康なうちから健康診断をする意味はあるの?」
その答えはもちろん「YES」です
ワンちゃん・ネコちゃんは本能的に病気を隠します。これは外敵に襲われるのを防ぐためです。
そんなワンちゃん・ネコちゃんの調子が悪くなって、いざ病院で検査をしたときに病気がかなり進行していて、すでに手遅れということもあります。
こんなとき多くの飼い主様は「もっと早く来てればよかった・・・」、「健康診断しておけば・・・」と言われます。
そして私も「もっと強く健康診断をおすすめしておけば良かった」と後悔します・・・。
ワンちゃん・ネコちゃんの死亡原因とされる病気の9割近くは健康診断によって早期発見できる可能性が高い病気(がん、心臓病、腎臓病、糖尿病など)と言われています。元気なうちに病気が見つかることで高い「生活の質」を維持しながら治療をうけることができます。ご家族にとってもワンちゃん・ネコちゃんの寿命を真剣に考えることができ、いざというときの心構えを持つこともできます。これにより一緒に暮らした時間が幸せだったとより多く感じることができます。
さらに元気なうちから健康診断を受けるもう一つの利点として、ワンちゃん・ネコちゃんそれぞれの基準値を知ることができるということです。たとえば、日本人と欧米人とでは検査の参考基準範囲が異なるようにワンちゃん・ネコちゃんはさらに多様な品種が存在するためそれぞれ参考基準範囲が異なり、設定されたイヌやネコの参考基準範囲をそのまま臨床的に応用することができないことがよくあります。つまり今まで一度も血液検査をしたことが無いワンちゃん・ネコちゃんが病気になった時に初めて検査した場合に認められた異常値は、過去の健康時の値やその数値のトレンド(それまでの変化)を考慮しないかぎり真の異常値かどうか判断できないことがよくあるのです。
例としてミニチュアダックスフントのAちゃんの場合を見てみましょう。PCV(血球容積比率)とは全血液の成分のうち、赤血球の容積がどれくらい占めるのかを表した数値です。
イヌのPCVの参考基準範囲は37〜55%です。
Aちゃんの2年前のPCV:57%(↑)
1年前のPCV:58%(↑)
半年前のPCV:56%(↑)
本日のPCV:40%(基準範囲内)
Aちゃんの過去の検査ではPCVがイヌの参考基準範囲より高い値を示しています。しかしこの時Aちゃんは元気で体には何の異常も認められません。つまり異常ではなくAちゃんとしては57%前後は正常なのです。
逆に本日のPCVはイヌの参考基準範囲としては正常な値を示していますがAちゃんにとっては実際は貧血傾向になっているのです。ただし過去のPCVがわからない状況で本日のPCVだけを見た場合、
問題ないとしてしまう可能性もあるのです(汗)。
このように、たった1回だけの検査では見逃してしまうような異常値というのが存在するということをご理解していただければと思います。5歳までは1年に一回、6歳からは最低でも1年に2回は血液検査をすることをおすすめします。さらに血液検査だけでなくその他の検査を同時に行うことで健康診断の精度がさらに上がります。ヒトの4〜5年がワンちゃん・ネコちゃんの1年に相当するとされています。当院の健康診断のおすすめ頻度は
★1歳〜5歳までは 年に1回のわんにゃんドック
★6歳〜10歳までは
年に1回のわんにゃんドック+半年後の血液検査
★11歳以上は 年に2回のわんにゃんドック
以上の健康診断の頻度を参考にしていただければと考えます。
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