2013.07.04更新

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 脇の下の肥満細胞腫です。手術方法は腫瘍全体に言えることですが大きな機能障害を起こさない範囲でできるだけ取るということです。とくに肥満細胞腫は取り残してしまうと厄介な腫瘍です。一回目の手術が極めて重要です。


腫瘍の下のバリアとなる筋膜まで丁寧に切除します。ここまで取ってしまうと皮膚が寄らないことがあります。そのばあい別の部位の皮膚をまわしてくることもあります。



なんとか寄りましたのでこのまま皮膚縫合しました。これで腫瘍はすべて取りきれました。
腫瘍の手術はダイナミックな判断と丁寧な手技が必要です。


次の例は肩にできた肥満細胞腫です。最大3㎝で可能な限りマージンをとり切除します。

腫瘍の底部は筋膜(筋肉を覆う膜)を1枚バリアとして切除します。筋膜の上にある皮下脂肪の層で切除してしまうと腫瘍を取り残してしまう可能性があるので慎重に筋膜で包みながら切除します。


切除範囲が大きくなりますので、切除した後は皮弁法を用いて再建します。


次に後肢にできた肥満細胞腫です。1.5センチ大の腫瘍が存在しています。
               
腫瘍を切除した所です。広範囲に正常な組織を含めて切除しています。

縫合したあとの状態です。小さな腫瘍でも大きく切除します。こうすることによって再発を減らすことができます。


次に頭部の皮下にできた肥満細胞腫です。1.5㎝大の腫瘍が存在しています。

腫瘍周辺の正常と思われる皮膚を大きく切除し、眼には見えない腫瘍を残さないようにします。底部も筋膜1枚をバリアとして腫瘍とともに切除します。

縫合したあとの状態です。

毛が生えそろった頃の写真です。少し毛色が変わっていますがほとんどわかりません




次は陰嚢にできた肥満細胞腫です。会陰部付近にできる肥満細胞腫は悪性度が高いと言われています。
陰嚢基部の赤くなっているところが腫瘍です。

陰嚢、睾丸ごと切除します。筋膜も丁寧に剥離し切除しました。






次に後ろ足の付け根の部位にできた4センチ大の肥満細胞腫です。皮膚に存在していました。

最大3センチのマージンをとり、底部は筋膜を1枚バリアとして切除しました。筋肉が露になっています。


皮弁法により腹部の皮膚を使用し再建しました。


どの例も切除範囲はかなりおおきくなっています。肥満細胞腫の手術では全ての例がここまでやらなければならないかというとそうではありません。臨床的な挙動や細胞診所見、犬種、腫瘍の大きさや浸潤性、広がり等を熟考し、最善の方法を選択します。悪性度が低いと判断した場合には1㎝くらいのマージンで切除することもあります。腫瘍が非常に悪そうなのか、そうでもないのかという見積もりが非常に重要で経験や知識を駆使して判断していく必要があります。




  東京都 調布市 西調布犬猫クリニック
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