2015.06.11更新

猫さんの耳になかなか治らないカサブタがある・・・こんなときは要注意です。

特に毛の白い猫さんの耳や目のまわり鼻の先には恐ろしい腫瘍ができることがあります。

その名も扁平上皮癌といいます。原因として紫外線の影響が考えられています。

「耳の先を怪我して以来、カサブタができてはとれる」、「病院で塗り薬もらったが治らない」等の主訴で来院されます。
例えばこんな感じです。

カサブタの部位が徐々に根元に広がっていきます。


カサブタがとれると首を振った時に血が飛び散ったりします。暑い季節だと化膿してしまうこともあります。


ゆっくりと進行していきますので、油断していると耳の根元まで浸潤していきます。


かなり進行しています。

耳根部まで進行している例です。ここまでくると手術で全てを取りきることが困難になります。
そしてこの先は顔が溶けていきます。遠くの部位に転移しにくい腫瘍ですが、局所ではどこまでも広がっていきます。
私は頭半分のところまで浸潤した例を見たことがありますが、常に化膿しており、痒いので掻いてしまい、膿や血が飛び散るという状況でとても痛々しかったです。その後、脳に浸潤したと考えられる症状で亡くなってしまいました。どんなガンも同じですが早期に治療することが最も重要です。



始めの写真の猫さんの手術の様子です。


腫瘍から十分なマージンをとって切除します。1回目の手術でギリギリで切除して、再発したらもう一度手術しましょうなんて考えは絶対にダメです!。腫瘍科研修医時代に、かかりつけの病院での手術後再発し、大学病院に再度手術を目的に来院してきた猫さんを見てきましたが、とても可哀想に思いました。


だから、癌が残らないようにしっかり余裕を持って切除します。しっかりと止血し、縫合します。


縫合が終わったところです。


手術後の様子です。



抜糸時の様子です。


手術後の病理検査でも余裕を持って癌が取りきれているということでした。これにて一件落着。
それでも反対の耳や鼻などにまたできることもありますので定期的に検診が必要ですね。
猫の耳はチャームポイントなので切除するのはとても心苦しいとは思います。しかし相手は癌ですから命を第一優先で考えなくてはなりません。そして出血や化膿を繰り返すことは生活の質が著しく低下します。そのことをよく考えていただければと思います。安易に経過を見るのはとても危険です。気になるようでしたら動物病院で見てもらいましょう!!



ちなみにこれは蚊に刺された後のアレルギー性皮膚炎です。外に出る猫さんに多いですね。蚊に刺されるということはフィラリアの予防をしっかりしないといけませんね!!

投稿者: 制作